NTT、半導体薄膜の材料分析にAIを活用し自動化に成功、DX推進と製造コスト削減に道筋

■物性導入型AIで光通信デバイス製造を革新

 NTT(日本電信電話)<9432>(東証プライム)は5月2日、光通信用デバイスに用いる化合物半導体薄膜の成膜条件を自動導出する新たな技術を開発したと発表。材料研究で注目される「マテリアルズインフォマティクス(MI)」の一環として、半導体物性の知識を導入した機械学習手法「物性導入型ベイズ最適化(PI-BO)」を用いたものである。従来の経験依存の試行錯誤を大きく削減しつつ、少ない実験回数で高精度な成膜条件の予測を実現した点が特徴だ。これにより、製造工程の効率化とDX推進が期待される。

 技術的には、化合物半導体材料の成膜に必要な原料ガスの量(FGa、FAs)を自動で最適化するシステムを開発。測定可能な物理量(バンドギャップ波長・格子定数)から結晶組成を導出し、それをもとに機械学習の教師データとして活用することで、目標となる結晶特性に合致する成膜条件を予測できる。特に、原料ガスと結晶組成の関係性に線形性を導入したことで、予測の信頼性と精度を大きく向上させた。

 PI-BOの有効性は実験でも確認されている。従来法では困難とされた「外挿条件」での予測に成功し、目標とするバンドギャップ波長と格子定数に一致した結晶成膜を実現した。NTTはこの成果を通じ、次世代の半導体デバイス開発と製造現場の知見継承に貢献するとしており、同技術の産業応用が注目される。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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