【どう見るこの株】エアークローゼットは3Q決算発表を前に通期業績の上ぶれ期待を高める

 エアークローゼット<9557>(東証グロース)は、前日7日に28円高の485円と急続伸して引け、東証グロース市場の値上り率ランキングの第23位と賑わった。同社株は、今年5月15日に今2025年6月期第3四半期(2024年7月~2025年3月期、3Q)決算の発表を予定しており、今期第2四半期(2024年6月~2024年12月、2Q)累計業績の通期予想業績に対する高利益進捗率や今年5月1日に発表した新アパレルブランド展開の合弁会社設立完了などから、前期と同様に通期業績の上ぶれ修正の可能性があると先取りし低位値ごろ株買いが増勢となった。テクニカル的にも、今年2月の年初来高値550円から4月の年初来安値359円への調整幅の半値戻しから騰勢に弾みをつけており、相場格言の「半値戻しは全値戻し」期待を高めている。

■2Q利益はすでに6月期通期予想業績を大幅にオーバー

 同社の今2025年6月期業績は、売り上げ48億1800万円(前期比14.3%増)、営業利益3200万円(前期は3500万円の赤字)、経常利益1200万円(同5200万円の赤字)、純利益1000万円(同5300万円の赤字)と売り上げは2ケタの連続増収、利益は黒字転換が予想されている。これに対して今期に入っての業績推移は、昨年11月に発表した今期第1四半期(2024年7月~9月期、1Q)が2ケタ増収・大幅増益で着地し、利益は、すでに通期予想業績を上回った。

 続いて今年2月に開示した今期2Q累計業績も、売り上げ24億2400万円(前年同期比20.6%増)、営業利益1億2400万円(前年同期は3100万円の黒字)、経常利益1億1400万円(同2300万円の黒字)、純利益1億1400万円(同2200万円の黒字)と大幅増益で着地し、利益は通期予想業績を大幅にオーバーした。月額制レンタルモール「airCloset」の有料会員数が、前年同期の3万4501人から3万8951人に増加し、同事業が事業構築期から事業拡大期に移行して売り上げが11億3300万円(同16.8%増)、営業利益が9000万円(同83.6%増)と伸び、昨年6月から本格展開した循環型物流プラットフォームでもレンタルサービスで2件、再商品化受託業務で2件それぞれ受注したことなどが寄与した。同社は、今後の季節要因や新規会員獲得のための費用負担、人的資源投資などを考慮して、通期予想業績は期初予想を据え置いたが、前期も、同様の業績推移から3Q決算開示の昨年5月に通期業績の上方修正を発表しており、再現期待につながっている。なお設立が完了した合弁会社は、パジャマをメインにした共同運営のアパレルブランド「Chill ST(チルストリート)」を同社のデータ活用の強みと合弁先のオアシスライフスタイル社(東京都渋谷区)のブランド展開の強みを融合させ新しいライフスタイルを提案するビジネスとして展開する。

■年初来高値調整幅の半値戻しで弾みをつけ相場格言の「全値戻し」を加速

 株価は、昨年11月開示の今期1Q業績の高利益進捗率着地で525円まで買い進まれ、2Q業績期待で年初来高値550円へ上値を伸ばしたが、2Q決算発表時に業績修正がなかったことで下値を探り、トランプ関税による世界同時株安も追い討ちとなり年初来安値359円へ大きく調整した。同安値からは売られ過ぎとしてリバウンド、大幅調整幅の半値戻し水準から上値追い弾みをつけ、足元では調整幅の3分の2戻しをクリアした。3Q決算発表を先取りして相場格言の「半値戻しは全値戻し」を達成し、弾みをつけ調整幅の倍返しの700円台を窺う展開も想定される。(情報提供:日本インタビュ新聞・インベストメントナビゲーター:株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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