
■4ヶ月で不正アクセス6380件、被害総額1600億円超に
金融庁は5月8日、インターネット取引サービスへの不正アクセスおよび不正取引による被害が急増している現状に対し、強く注意を喚起した。令和7年1月から4月にかけて、不正取引が発生した証券会社は9社に上り、不正アクセス件数は6,380件、不正取引件数は3,505件に達した。被害額も甚大であり、売却金額は約1,612億円、買付金額は約1,437億円にのぼる(いずれも金融庁が各証券会社から現時点で報告を受けた暫定値)。これらの不正行為は、実在する証券会社のウェブサイトを装った偽サイト(フィッシングサイト)等で窃取された顧客情報(ログインIDやパスワード等)を悪用する手口が目立つ。
不正アクセスの手口として、見覚えのある送信者を装ったメールやSMSに掲載されたリンクを通じて偽サイトへ誘導し、IDやパスワードを詐取するケースが確認されている。また、不正アクセス者は被害者の口座に侵入後、口座内の株式等を売却し、その代金で国内外の小型株などを買い付ける事例が多発している。金融庁は、このような被害に遭わないために、全てのインターネット取引サービス利用者に対し、以下の対策を講じるよう強く促している。具体的には、不審なメールやSMSのリンクは絶対に開かないこと、証券会社のウェブサイトへは事前に登録したブックマークからアクセスすること、各社が提供する多要素認証や通知サービスを有効に活用し、不審な取引に常に注意を払うことなどが挙げられる。
さらに、パスワードの使い回しをやめ、推測困難な複雑なパスワードを設定すること、口座状況をこまめに確認し、不審な入力や取引があった場合は速やかに証券会社に連絡し、パスワードを変更することも重要である。加えて、フィッシング詐欺だけでなく、マルウェアによる情報窃取を防ぐために、PCやスマートフォンのOSやセキュリティ対策ソフトを常に最新の状態に保つことが不可欠だ。金融庁は、日本証券業協会による注意喚起も併せて確認するよう呼びかけている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)