
■宇宙飛行士も評価、乾燥環境でうるおいを守る革新技術
資生堂<4911>(東証プライム)は8月19日、宇宙環境で使用可能なスキンケア製品を独自設計し、2025年3月15日に国際宇宙ステーション(ISS)へ搭載したと発表した。応用されたのは「Second Skin」技術で、肌と一体化する人工皮ふを形成する2剤式美容液である。極限環境下でも肌のうるおいと健やかさを維持することを目的として開発された。宇宙飛行士大西卓哉氏は「水を使わずに保湿や洗浄ができる点は宇宙船内で大きな利点」とコメントしている。
同社は「水に頼らない次世代スキンケア」という発想から、肌の表面に薄い人工皮ふ膜を形成し、水分蒸散を防ぐ循環型保湿機能を実現した。また、この膜を剥がす際には皮脂や古い角層を除去できる洗浄効果も兼ね備える。これにより限られた水資源下でも効果的なスキンケアが可能となる。背景には、地球においても水資源の重要性が高まっているという課題意識がある。
資生堂は今回の宇宙対応技術を通じ、企業理念「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD」の実現を加速させる考えだ。同社は2018年に米国Olivo Laboratories社の特許技術を取得し進化させてきた。R&D理念「DYNAMIC HARMONY」の下、「Skin Beauty」「Sustainability」「Future Beauty」の3本柱で研究を展開し、外部機関との連携も推進している。今回の成果は宇宙という新領域での活用とともに、地球規模での美容と持続可能性に寄与する可能性を示している。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)