【株式市場特集】自己株式取得に高まる市場の期待、ETF買い終了後の「最後の防波堤」か

■株価防衛の鍵を握る自社株買い

 自己株式取得は企業の株価を下支えする手段として注目されているが、必ずしも短期で効果が現れるとは限らず、実際には市場での買い付けが行われない場合や、取得株数が業績悪化の懸念を払拭できない例も見られる。最近の取得発表銘柄でも株価の反応は勝率5割前後にとどまっており、短期的な過信は禁物である。一方で、金融政策の正常化によって日銀のETF買いが停止した現在、市場の下支え役としての自己株式取得への期待は高まりつつある。取得比率の高い銘柄やPBRが1倍を割る銘柄などに注目が集まり、相場反転の先導役となる可能性がある。

■取得株比率上位の2銘柄は揃って株式分割を予定し大幅増配

 自己株式の取得株数が、総発行済み株式数に対して高比率となる銘柄のトップ10は、31.3%の三井松島ホールディングス<1518>(東証プライム)以下、エン・ジャパン<4849>(東証プライム)、アイシン<7259<(東証プライム)、愛知製鋼<5482>(東証プライム)、雪印メグミルク<2270>(東証プライム)、SANKYO<6417>(東証プライム)、杉本商事<9932>(東証プライム)、M&A総研ホールディングス<9552>(東証プライム)、SEMITEC<6626>(東証スタンダード)、クレハ<4023>(東証プライム)と続き、第10位のクレハの対発行済み株式総数比率は、11.26%である。

 このうち三井松島HDと愛知製鋼は、ともに今年6月末、9月末を基準日とする株式分割と今期配当の大幅増配も予定している。また愛知製鋼は、アイシンとともにトヨタグループの株式保ち合い構造の改革関連株でもある。さらに雪印メグ、クレハは配当方針を変更して増配を予定しており、クレハは今期配当が前期比2.5倍になる可能性もあるとしており、そのケースでは年間配当利回りは7%を超えてくる。グローリーは、連続減益予想だが配当は増配する。エン・ジャパンとM&A総研は、今期業績が減益・配当が減配予想や業績を下方修正しており、このマイナス材料を自己株式取得でリカバリーできるか注目される。

■PBR1倍割れの地銀株、メガバンク株は米国債格下げが取り敢えずの追い風

 自己株式取得により大幅な割り負け訂正が期待されるのが、PBR1倍割れ銘柄である。何といっても中心は地銀株でいよぎんホールディングス<5830>(東証プライム)、ちゅうぎんフィナンシャルグループ<5832>(東証プライム)、京都フィナンシャルグループ<5844>(東証プライム)、ひろぎんホールディングス<7337>(東証プライム)、あいちフィナンシャルグループ<7389>(東証プライム)、山形銀行<8344>(東証プライム)、八十二銀行<8359>(東証プライム)、琉球銀行<8399>(東証プライム)、東和銀行<8558>(東証プライム)、池田泉州ホールディングス<8714>(東証プライム)と続く。米国債の格付けが引き下げられたことが、米国の長期金利上昇を招き国内金利もツレ高し利ザヤ拡大として取り敢えずの追い風になる。メガバンクの三井住友トラストグループ<8309>(東証プライム)、三井住友フィナンシャルグループ<8316>(東証プライム)、みずほフィナンシャルグループ<8411>(東証プライム)やクレディセゾン<8253>(東証プライム)もまだ1倍を割っている。化学株の日本曹達<4041>(東証プライム)、堺化学工業<4078>(東証プライム)、カネカ<4118>(東証プライム)、三菱ケミカル<4188>(東証プライム)、カーリット<4275>(東証プライム)も、隠れたPBR1倍割れ組となる。

 自己株式取得の常連株の取得総額が大きい銘柄も、前記のキヤノン、丸井Gのケースが繰り返されるか目が離せない。取得総額が5000億円でトップの信越化学工業<4063>(東証プライム)、4500億円のリクルートホールディングス<6098>(東証プライム)、4000億円のKDDI<9433>(東証プライム)以下、日立製作所<6501>(東証プライム)、ソニーグループ<6758>(東証プライム)、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>(東証プライム)、日本郵船<9101>(東証プライム)、さらに2000億円の第一三共<4568>(東証プライム)、京セラ<6971>(東証プライム)、NTT<9432>(東証プライム)と続いてトップ10であり、リード役としてマークしたい。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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