【マーケットセンサー】コメ関連株に熱視線!備蓄米放出で商機拡大か?

■大手小売が牽引、農業機械・農薬株にも波及の兆し

 備蓄米の市場放出を契機に、コメ関連株が新たな注目を集めている。政府が主導する備蓄米の売渡しが、関連企業の業績を押し上げるとの見方から、株式市場では買いが先行している。精米工場の確保をめぐる動きも報じられ、関連銘柄全体のスケールアップに期待が高まる。特に、備蓄米を安価に確保できる小売企業や、コメの増産を視野に入れた農機・農薬メーカー、さらに株主優待でコメ製品を提供する企業など、幅広い銘柄が投資家の関心を集めている。価格高騰の思惑も重なり、コメ関連株への追随買いが活発化する兆しを見せている。

 備蓄米の随意契約による売渡しを申請した61社の大手小売事業者の中で、上場企業が相場の先導役を果たしている。パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)、アクシアルリテイリング、イオンなどの大手企業は、すでに年初来高値を更新しており、市場ではその反応が顕著だ。PPIHは、取得した令和4年産米1万5000トンの一部を店舗で販売開始し、ディスカウント業態としての集客効果に注目が集まる。市場価格の半値で提供される備蓄米の特性から、PLANT、ミスターマックス、マミーマートといった同様の業態の企業も、特売品としての活用を見込んでいる。これらの銘柄は備蓄米の確保量こそ1000トン前後にとどまるが、低PER水準にあるため、先行銘柄に続く展開が期待される。特にPLANTは、今期業績の下方修正にもかかわらず増配を維持し、配当利回り5%超の高水準を維持している点で注目される。大黒天物産も、売渡し決定後に株価が乱高下したものの、信用需給の良好さから上値余地があると見られている。

 さらに、小売各社から精米委託を受ける木徳神糧やヤマタネといったコメ卸企業も、関連銘柄として継続的な買いが期待される。井関農機がコイン式精米機事業で物色されたように、やまびこ、丸山製作所、タカキタ、クボタ、ネポンなどの農業機械メーカーにも関心が広がる可能性がある。また、米増産を見据えた農政改革の動きに関連し、水稲用農薬・肥料を手がける住友化学、日産化学、北興化学工業、日本農薬、多木化学、片倉コープアグリなども注目対象となる。コメ関連株の広がりは、単なる一過性のブームにとどまらず、日本の食料安全保障や農業の将来を映す存在となりつつあると言えるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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