建設技術研究所、販管費増加や原価率悪化が利益を圧迫も、受注・売上は堅調推移

 建設技術研究所<9621>(東証プライム)は8月12日に25年12月期第2四半期累計(中間期)連結業績を発表した。販管費増加等で減益だが、概ね計画水準だった。通期予想については特別損失計上で純利益を下方修正したが、営業・経常増益予想を据え置いた。受注・売上高が順調に拡大し、販管費等の増加を吸収する見込みだ。国土強靭化関連など事業環境は良好であり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は順調に水準を切り上げて最高値更新の展開となった。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■25年12月期純利益を下方修正だが、営業・経常増益予想据え置き

 25年12月期第2四半期累計(中間期)連結業績は売上高が前年同期比0.1%増の507億94百万円、営業利益が12.0%減の59億76百万円、経常利益が11.9%減の60億34百万円、親会社株主帰属中間純利益が22.6%減の37億79百万円だった。

 グループ全体の受注高が11.7%増の609億17百万円となり、売上高も堅調に推移したが、営業利益は販管費の増加や一部案件の原価率悪化などの影響で減益だった。ただし概ね計画水準だった。なお第2四半期の特別損失に、社員寮として使用してきた土地・建物等の固定資産を事業用資産から遊休資産に変更したことに伴う減損損失4億32百万円を計上したほか、関係会社に対する債権放棄損88百万円、保有株式の時価評価による投資有価証券評価損42百万円を計上した。

 セグメント別(セグメント間取引消去前)に見ると、国内建設コンサルティング事業は受注高が9.7%増の418億25百万円、売上高が0.9%増の358億26百万円、営業利益が8.6%減の59億37百万円、海外建設コンサルティング事業は受注高が16.3%増の190億92百万円、売上高が1.9%減の149億67百万円、営業利益が86.0%減の41百万円だった。海外建設コンサルティング事業は、受注高が建設技研インターナショナルの大型案件受注によって大幅に増加したが、営業利益については建設技研インターナショナルの契約遅れ等による業務進捗率(原価率)の悪化、英国Waterman Group Plcにおける国民保険の企業負担増、人件費高止まりなどが影響した。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が301億10百万円で営業利益が58億59百万円、第2四半期は売上高が206億84百万円で営業利益が1億17百万円だった。なお公共事業が主力で業務の進捗が年度末に集中するため、売上高および営業利益は第1四半期に偏重する収益特性がある。

 通期の連結業績予想については、特別損失計上に伴い親会社株主帰属当期純利益を期初予想比6億円下方修正して、売上高が前期比2.4%増の1000億円、営業利益が6.4%増の100億円、経常利益が4.9%増の100億円、親会社株主帰属当期純利益が6.6%減の63億円としている。グループ全体の受注高は5.9%増の1000億円の計画である。配当予想は期初予想を据え置いて75円(期末一括)としている。25年1月1日付の株式2分割を遡及換算すると24年12月期の75円(期末一括)と同額で、予想配当性向は33.1%となる。

 セグメント別(セグメント間取引消去前)の計画は、国内建設コンサルティング事業の受注高が1.9%増の670億円、売上高が3.1%増の690億円、営業利益が8.0%増の93億円、海外建設コンサルティング事業の受注高が15.1%増の330億円、売上高が0.9%増の310億円、営業利益が9.4%減の7億円としている

 受注・売上高が順調に拡大し、販管費等の増加を吸収する見込みだ。国土強靭化関連など事業環境は良好であり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は最高値更新の展開

 株価は順調に水準を切り上げて最高値更新の展開となった。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。8月12日の終値は3255円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS226円77銭で算出)は約14倍、今期予想配当利回り(会社予想の75円で算出)は約2.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2213円71銭で算出)は約1.5倍、そして時価総額は約922億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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