アイフリークモバイル、DX事業の黒字化が業績改善を牽引、生成AI活用と効率化で収益力を強化

 アイフリークモバイル<3845>(東証スタンダード)は、電子絵本アプリや知育アプリなどのコンテンツ事業、およびシステム受託開発や人材派遣などのDX事業を展開し、成長戦略としてAIの活用を強化している。26年3月期の利益は赤字予想としている。ただしDX事業の損益改善が牽引して第1四半期の利益が黒字転換したことを勘案すればやや保守的だろう。積極的な事業展開で収益改善基調を期待したい。株価は急伸した年初来高値圏から過熱感で一旦反落したが、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■コンテンツ事業とDX事業を展開

 電子絵本アプリや知育アプリなどのコンテンツ事業、およびシステム受託開発や人材派遣などのDX事業(25年3月期よりコンテンツクリエイターサービス事業の名称を変更)を展開し、AIの活用を強化している。

 経営の合理化および組織運営の効率化を図るため、24年4月に子会社アイフリークスマイルズを吸収合併、24年10月に子会社I-FREEK GAMESを吸収合併した。また25年7月4日付で主要株主およびその他の関係会社の異動をリリースした。株式会社ランニングおよびその共同保有者1名が第3位株主(合計議決権所有割合29.06%)となった。

 25年3月期のセグメント別業績は、コンテンツ事業の売上高が87百万円で営業利益(全社費用等調整前)が42百万円の損失、コンテンツクリエイターサービス事業の売上高が18億79百万円で営業利益が2億27百万円、営業利益の調整額が▲2億83百万円だった。

■コンテンツ事業は知育アプリなど

 コンテンツ事業は、デコメ・絵文字・スタンプ・壁紙などのデジタル素材「デココレ」や、知育アプリ「あそびタッチ」などの低年齢層向けファミリーコンテンツなどを展開している。なお電子絵本アプリ「森のえほん館」については25年7月31日をもってサービスを終了した。デジタルコンテンツは、クリエイター支援WEBサイト「CREPOS」によって約1万人の外部登録クリエイターを組織化し、20万点以上のデジタル資産を有している。

 24年1月には、レジャー・エンターテインメント施設向けソリューションを提供するORIGRESS PARKS(東京都)の第三者割当増資を引き受けて資本業務提携した。クリエイターネットワーク「CREPOS」と、ORIGRESS PARKSのレジャー・エンターテインメント施設ネットワークを活用し、24年4月より共同事業として、エンターテインメント施設向けキャラクター活用サービス「アイフレス」を開始した。

 24年7月にはYouTubeチャンネル「Popo Kids」において、画像生成AIを活用したデジタル絵本動画「世界が終わる前に」の配信を開始した。25年2月にはYouTubeチャンネル「Popo Kids」のチャンネル登録者数が12万人を突破した。

 25年1月にはクリエイターネットワーク「CREPOS」所属のクリエイターとTOPPAN社がコラボレーションを行い、東京ビッグサイトで開催された「東京eスポーツフェスタ2025」において、体験型コンテンツとして実施された「グッドラックゲーム」のイメージキャラクターを提供した。25年3月にはクリエイターネットワーク「CREPOS」所属クリエイターと協力し、名古屋テレビネクストが運営するダンス専門テレビ局「ダンスチャンネル」のチャンネル10周年応援キャラクターを制作・提供した。

■DX事業はシステム受託開発や人材派遣など

 DX事業は、WEBコンテンツ制作・システム受託開発、人材派遣などを展開している。22年10月には、NHN JAPANグループのNHN テコラス社が提供する「テコラス パートナープログラム」に参画した。NHN テコラス社は日本に12社しかないアマゾン ウェブ サービス(AWS)の最上位プレミアティア サービスパートナーとして、AWSを中心としたITインフラ総合支援サービスを提供している。NHN テコラス社が提供する多様なサービスを活用することでビジネス拡大を推進する。

■成長戦略

 成長戦略として、コンテンツ事業では同社の強みである知育アプリ、絵本・IPコンテンツなどの資産を活かし、生成AIなどの新たな技術も掛け合わせた教育コンテンツ(プログラミング等)を強化する。DX事業では生成AI、データサイエンス、クラウドコンピューティングなど、専門領域に特化したエンジニアの育成を進めながら商流改善を行い、高単価案件の獲得を推進する。そしてDX事業を基盤として、コンテンツ事業の収益化により永続的成長を目指す。

■26年3月期赤字予想だが保守的

 26年3月期の業績(非連結)予想は、売上高が前期比9.4%減の18億16百万円、営業利益が60百万円の損失(前期は61百万円の損失)、経常利益が63百万円の損失(同50百万円の損失)、当期純利益が63百万円の損失(同1億10百万円の損失)としている。

 第1四半期の業績(非連結)は、売上高が4億91百万円、営業利益が7百万円、経常利益が7百万円、四半期純利益が7百万円だった。前期第3四半期より非連結決算に移行したため、前年同期の連結業績(売上高6億30百万円、営業利益19百万円の損失、経常利益15百万円の損失、親会社株主帰属四半期純利益15百万円の損失)との比較で見ると、売上面は減収だが、利益面はDX事業の損益改善が牽引して黒字転換した。

 コンテンツ事業は売上高が6百万円、営業利益(全社費用等調整前)が5百万円の損失だった。前年同期の連結ベースの売上高は28百万円、営業利益は7百万円の損失だった。経営資源を成長分野へ集中させる戦略的判断で「森のえほん館」サービスを終了(25年7月末)する一方で、これまでユーザー利便性を考慮して広告を控えていたアプリにも段階的に広告を導入するなど、サービス移行期における一時的な費用や先行投資が影響した。

 DX事業は売上高が4億84百万円で、セグメント利益が72百万円だった。前年同期の連結ベースの売上高は6億02百万円、営業利益は49百万円だった。25年4月より組織の一本化を実施して機動的な営業推進体制を構築したほか、新体制の下で生成AIなどの専門領域に特化した人材を育成しながら、継続的な商流も見直しや単価交渉を実施した。

 通期の業績(非連結)予想は据え置いている。コンテンツ事業では、知育アプリ開発・施策に注力して売上の底上げを図るほか、絵本制作・活用およびAIを活用した絵本事業によるBtoB販路拡大などを推進する。DX事業では、生成AI、データサイエンス、クラウドコンピューティングなど専門領域に特化したエンジニアの育成を進めながら、商流改善や高単価案件獲得を推進する。

 通期の利益は赤字予想としている。ただしDX事業の損益改善が牽引して第1四半期の利益が黒字転換したことを勘案すればやや保守的だろう。積極的な事業展開で収益改善基調を期待したい。

■株価は上値試す

 株価は急伸した年初来高値圏から過熱感で一旦反落したが、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。8月27日の終値は214円、前期実績PBR(前期実績のBPS40円08銭で算出)は約5.3倍、そして時価総額は約46億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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