花王、嗅覚受容体約400種類の反応を網羅解析する技術を世界初確立、培養細胞で全受容体を安定発現

■日本味と匂学会で優秀発表賞を受賞、応用研究に期待

 花王<4452>(東証プライム)は9月24日、ヒトが持つ約400種類の嗅覚受容体のほぼすべてを培養細胞の表面に発現させ、その反応を網羅的に解析する技術「ScentVista 400」を確立したと発表した。これは世界初の成果であり、におい物質に対する嗅覚受容体の反応パターンを体系的に把握できることを示した。今回の研究成果は日本味と匂学会で優秀発表賞を受賞している。

 背景には、嗅覚受容体が鼻では細胞表面に存在しにおいを認識する一方、培養細胞では安定的に表面に発現できず、多くの受容体が解析不能であった課題がある。花王はアミノ酸置換を通じてこの問題を克服し、全受容体の表面発現に成功した。その結果、嗅覚受容体が香りや不快臭にどう反応するかを一度に網羅的に解析することが可能になった。

 解析の結果、似た香りには類似した反応パターンが、異なるにおいには異なるパターンが見られることが判明した。ローズオイルとゼラニウムオイルのように異なる原料でも香りが近ければパターンが類似し、またインドールのように濃度によって異なる香りを示す場合は反応も変化した。今後は、不快臭を心地よい香りのパターンに変換する応用や、香料使用量削減への展開が期待される。花王は嗅覚の本質理解をさらに深め、香りの新たな可能性を追求していく方針である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■ガソリン・軽油の暫定税率廃止法成立  ガソリン暫定税率廃止法は11月28日に成立し、ガソリン税2…
  2. ■うつ・統合失調症・発達障害を脳から理解する、最前線研究を平易にまとめた一冊  翔泳社は11月25…
  3. 【新築マンションの短期売買を分析】  国土交通省は11月25日、三大都市圏および地方四市の新築マン…
2025年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

ピックアップ記事

  1. ■「大きく産んで小さく育てる」IPO市場、期待裏切る後半戦  48勝2分10敗である。2025年の…
  2. ■日銀イベント通過で円高前提、紙・パ株が師走相場の主役候補  今週のコラムは、日銀の金融政策決定会…
  3. ■FOMC通過も市場は波乱、金利と為替に残る違和感  FRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公…
  4. ■眠れる6900トンの金が動き出す、「都市鉱山」開発でリデュース株に追い風  今週の当コラムは、金…
  5. ■天下分け目の12月10日、FRB利下げで年末相場は天国か地獄か?  天下分け目の12月10日であ…
  6. ■AI・データセンター需要拡大に対応、測定能力は従来比最大2倍  リガク・ホールディングス<268…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る