明治など、ワクチン抗体価が高い人の腸内環境を解明、ヨーグルト習慣と高抗体価に関連

■産官学プロジェクト、便から抗体価を評価できる可能性示す

 明治ホールディングス<2269>(東証プライム)傘下の明治は11月6日、神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)や神奈川県立がんセンターなどと共同で、新型コロナウイルスワクチン抗体価が高い人の腸内環境の特徴を解明したと発表した。同研究は「神奈川県産官学共同 新型コロナウイルス抗体価社会調査プロジェクト」の最終報告であり、一連の成果は10月25日付で国際学術誌Gut Microbes Reportsに掲載された。2022年から生活習慣や腸内細菌と抗体価の関係を調査しており、特に食習慣と免疫応答の相関に焦点が置かれた。

■ヨーグルト摂取者でT細胞活性と抗体価上昇、腸内環境が免疫応答に影響

 研究結果によれば、ヨーグルトを毎日摂取する人は抗体価が高く、新型コロナウイルスに反応するT細胞の割合も多いことが確認された。さらに、便中と血中の抗体量が正の相関を示し、全身免疫と腸内免疫の関連性が示唆された。便中からはLactobacillus属やBlautia属などの腸内細菌、リンゴ酸・乳酸・コハク酸といった代謝物質が抗体価と相関することが判明した。血液を採取せずに便から抗体価の推定が可能となる可能性も示された。

 同成果は、ワクチン接種後の抗体価に個人差が生じる要因の解明につながるとともに、新興感染症への備えとして、腸内環境を基盤とした新たな予防習慣の確立に寄与するものとされる。今後は腸内細菌や代謝物質を活用した免疫向上策への応用が期待されるとして、産官学連携による知見の社会実装が検討される見通しである。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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