【コメ高が生む新需要】製麺所の倒産、過去10年で最少、コメ高騰が麺需要を押し上げ

■家庭用・外食向けとも需要堅調、赤字比率は過去最少

 帝国データバンクは11月7日、「製麺所(製麺業)」の倒産動向を発表した。2025年1~10月の倒産件数は4件にとどまり、過去10年で最少ペースとなった。コメ価格の高騰を背景に、飲食店ではラーメンやうどんなどの麺メニューを増やす動きが広がり、家庭向けでもパスタや中華麺の需要が拡大したことが追い風となった。小規模な廃業はあるものの、製麺所全体の経営環境は改善傾向にある。

 2024年度の業績では、「増収」企業が38.9%、「増益」企業が44.2%に達し、いずれも過去20年で上位の水準を維持した。「赤字」企業は19.3%にとどまり、過去最少となるなど業況改善が鮮明だ。一方、エネルギーコストや人件費、運送費などの上昇が続き、価格転嫁が困難な企業では収益を圧迫している。業界内では業績格差の拡大が進んでおり、利益を確保する企業とそうでない企業の二極化がみられる。

 足元では、麺メニューの多様化や人気拡大を背景に、著名飲食店とのコラボレーションやご当地ブランド商品の開発が活発化している。コメ高騰による需要シフトは一時的との見方もあるが、品質やブランド力を高め、価格上昇を正当化できる高付加価値商品の開発が課題とされる。製麺所各社は、主食市場の変化を機に、収益構造の転換と持続的な成長戦略の確立が問われている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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