【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】嚥下訓練:最期まで自分で食べる

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 現代医療は医療経済の観点が重視され、最短、安全で効率的な医療が望ましいとされ、治せない医療である慢性期医療はレベルが低いとする風潮があります。急性期と慢性期医療の両者を経験すると、慢性期のほうが総合的には困難な事が多く難しい医療と感じます。

 急性期医療では、胃潰瘍出血例では止血手技的な困難さはありますが、目標は「止血」と明確です。禁飲食で内視鏡下で止血を図りますが、止血時の達成感は非常に高いものです。しかし長期の禁食で高齢者では、全身の筋肉量が減少し「サルコペニア」になり自力では食べれなくなります。急性期では14日間の入院期間の縛りがあり、後は自宅で食べれるようにすることが求められます。急性期の多くの医師は、目標が達成すればその後の日常生活には余りにも無関心です。

 慢性期では、自ら食べれなくなった患者さんが色々な経路から入院してきます。経鼻胃管や胃瘻などの人工栄養を選択しますが、患者さんの多くは認知機能低下も伴っています。人生最期まで自分で食べることが出来れば、認知機能もある程度保たれ、ご本人だけでなくご家族も満足感が高いと思います。

 日本摂食嚥下リハビリテーション学会などから、多くの嚥下(えんげ)訓練法が紹介されています。「嚥下体操」は、(1)口すぼめ深呼吸,(2)首回旋運動,(3)肩上下運動,(4)両手を頭上で組んで体幹の左右側屈,(5)頬を膨らませたり引っ込めたりする,(6)舌の前後の出し入れ,(7)舌で左右の口角にさわる,(8)強く息を吸い込む,(9)パ,タ,カの発音訓練、などを実施する。「嚥下おでこ体操」も有用で、額に手を当てて抵抗を加えおへそをのぞきこむように強く下を向くようにします。のど仏の下の筋肉に力が入っているのが分ります。最近むせることがある方は、ぜひ今から嚥下訓練を試みては如何でしょうか。

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