【どう見るこの相場】予備費10兆円充当の「アベノシールド」配布なら「千切木」銘柄もワンモア・チャンス

どう見るこの相場

 週明けのきょう15日に「アベノマスク」の配布が、すべて完了するそうである。4月1日の安倍晋三首相の配布表明から、7日の配布開始を経て2カ月超かかった計算になる。この間、「小さ過ぎる」と不評で「不良品」のクレーム・回収が続き、4月7日に発出された「緊急事態宣言」は、とっくに5月25日に解除されており、「遅過ぎる」、「小出し」とブーイング続きの政府の経済対策のシンボルとなった感がある。何だか狂言の『千切木』の「争い果てての千切木」を思い起こさせ、感染(争い)の第1波が収まったあとにアベノマスク(千切木)を持ち出す時機を逸した空威張り・空騒ぎにもみえる。

 しかし新型コロナウイルス感染症は、本当に「争い(感染)果てて」といえるのだろうか?経済活動を早くに再開した米国の一部の州で新たに感染者が増加に転じ、ニューヨークダウ工業株30種平均は、6月11日に1861ドル安と急落したばかりで、中国からも北京の食品卸売市場で集団感染が発生したとのニュースが飛び込んできた。国内でも、梅雨入りによる自然災害発生時の「3密」の避難所での集団感染予防が緊急課題になりつつある。

 東京都でも、小池百合子知事が、東京都知事選挙出馬表明前の6月11日に独自の警戒情報「東京アラート」を解除し、合わせて休業要請の段階的な緩和措置を「ステップ3」へ移行させ、飲食店の営業時間制限を全面的に撤廃し、政府も、夜の街のガイドラインを公表した。昨14日に東京都では、新たに47人の新規感染者が確認されており、7月5日の投開票日の都知事選の選挙期間中に感染者の増加があるのかないのか、選挙そのものが無事に終了できるのかハプニングがあるのかいささか心配になる。

 こうした懸念を前提とすると「アベノマスク」は、必ずしも「争い果てての千切木」とはいえないことになるはずだ。むしろ仮に「第2波」が発生する場合は、家庭の備蓄用として機能するかもしれないのである。そうだとすれば、安倍首相は、今年度第2次補正予算の10兆円の予備費を充当して「アベノマクス」の第2弾を実施し、今度こそ迅速に配布すれは内閣支持率の上昇につながる可能性もある。あるいはマスクではなく、つばの飛沫防止のフェイスシールドの「アベノシールド」とする手もある。

 株式市場でも、「コロナ・ポジティブ」で一時人気となり、その後やや鳴りを鎮めていた「千切木」銘柄が、再評価される動きが目立ってきた。もちろん新型コロナウイルス感染症関連の主役は、オンライン診療のエムスリー<2413>(東1)やワクチン開発のアンジェス<4563>(東マ)、テレワーク関連の弁護士ドットコム<6027>(東マ)、ゲームの任天堂<7974>(東1)などで表舞台にほぼ出ずっぱりの活躍だが、その影でよく健闘した銘柄もある。

 その代表が、イムラ封筒<3955>(東2)である。安倍首相の「アベノマスク」配布表明を受けて郵送の封筒需要思惑で急動意となり、足元の前週末12日も年初来高値追いとなった。投資採算も割安で値ごろ妙味もあるだけに一段高期待は強い。同様の小型株で値ごろ妙味のある割安株をワンモア・チャンスの期待できる「千切木」銘柄をスクリーニングしたい。

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