【どう見るこの相場】「最後の最後で黒田ショック!?」金利敏感株と円安メリット株の悪目買いで桜開花を心待ち

■「植田ブレーキ」か「植田ニュートラル」か?

 「最後の最後で黒田ショックかよ!?」とため息をつかれた投資家も少なくないに違いない。前週10日に日本銀行の金融政策決定会合で、現状維持の結果が発表されあと株価が一段安となったからだ。黒田東彦総裁の10年にわたった任期の最後の決定会合であったのに、市場の期待とは裏腹の結果発表であった。次期総裁の植田和男氏へのエールとして金融政策の正常化をしやすくサポートする何らかの下地作りがあるのではないかともっとウエットに観測していたのである。それがドライにも素気なく現状維持を決め、会合後の記者会見でも黒田総裁は、あの10年前の「黒田バズーカ」発動時の記者会見の迫力はみられず控え目ながらも異次元金融緩和策の政策効果を言い立てた。

 現状維持の結果発表を受けて日経平均株価は、10日後場から下げ足を早め大引けでは479.18円安と6営業日ぶりに急反落し、今年最大の下げ幅となった。もっとショック安となったのは銀行株である。兎に角、前日9日には黒田総裁最後の金融政策決定会合での政策修正を先取り、利ザヤ拡大を期待してメガバンク、地銀株を含め東証プライム市場の銀行株の約4割にもなる32行の株価が、昨年来高値を更新していたのである。それだけに10日の反動安は厳しく、東証プラム市場の値下がり率ランキングの上位に銀行株が何行もランクインし、業種別株価指数でも銀行株がワースト1と売られた。

 銀行株は、この日は「黒田ショック」前にも売り先行でスタートしていた。米国の中堅金融持ち株会社SVBファイナンシャル・グループの株価が急落し金融システム不安が高まり、米国の大手銀行株全般がツレ安していたからだ。10日にはSVBファイナンシャル・グループの傘下銀行の債券投資損失による経営破綻が発表されており、これがまれにしか起こらないはずの想定外の暴落が発生するリスクのテールリスクか見極める必要があり、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融引き締め策に影響するか先行きも気になる。東京市場でも、前週末10日に南都銀行<8367>(東証プライム)が、外国債券中心のポートフォリオを再構築するためとして今2023年3月期業績を下方修正した。もちろんきょう13日の週明けの東京市場が、さらに売り込まれるのか何とか踏み止まるのか反応を最大限の警戒感でウオッチすることは大前提となる。

 となると、この春の彼岸相場は、4月9日に日銀総裁の椅子に座る植田新総裁の一挙手一投足が大きなカタリストになる可能性が大となる。もちろんその一挙手一投足は、その前の3月21日からFRBが開催するFOMC(公開市場委員会)で、政策金利の引き上げ幅が、0.25%にとどまるのか0.5%に再加速されるのか、パウエルFRB議長が、ハト派かタカ派か明らかになることにも関係する。新任早々にもかかわらず植田新総裁には日米中央銀行首脳の腹の探り合いなども予想され難題である。

 仮にパウエル議長がタカ派なら、対抗して日米金利差の拡大による円安・ドル高を阻止し、物価高を抑えるために長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の上限を再拡大するなどの「植田ブレーキ」が有力となる。このケースでは利ザヤ拡大で前週末10日に急落した金利敏感の銀行株に悪目買いの余地がある。逆に「黒田バズーカ」を当面継続する「植田ニュートラル」なら円安・ドル高関連の円安メリット株の出番となる。この両セクター株は、実は前週末の株価急落前は揃って昨年来高値を更新した銘柄が多く、いずれもリターン・リバーサルとなる。

 そこで今週の当特集では、「植田ブレーキ」か「植田ニュートラル」かどちらに転んでもいいように両立ての投資スタンスとすることにした。両セクター株とも、バリュー株素地は十分で、安全資産の「質への逃避」投資への資格を充足しているのは共通しているからだ。季節は早めの春到来とまぶしさを増すなか、市場は急な寒の戻りと厳しいが、蕾がほころぶ始めた桜の開花をみながら、株価の方も開花を心待ちにしたい。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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