材料は後からついて来る=犬丸正寛の相場格言

【先人の教えを格言で解説!】
(犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年没・享年72歳。生前に残した相場格言を定期的に紹介。)

■材料は後からついて来る

株価は、通常は「材料」、「出来事」、「ニュース」によって動きます。しかし、ここでは、その逆に、株価の動きが材料を引き寄せることもあると教えています。

材料・出来事・ニュースは、大まかに言えば、3つの種類があります。政治、物価、為替、失業率、事件、事故、天候、スポーツなどの「社会発」のもの。企業業績、増資、新商品、M&Aなどの「企業発」のもの。そして、株価が1万円を超えたとか出来高が増えたとか、外国人の買いが増えたとか、新高値の銘柄が多いとかの「マーケット発」のものです。

今のように、情報開示が進んでいなかった昔は、特に、企業発の情報は一部の大手証券や銀行などに集中していました。

そうした、おいしい情報に手が届かなかった、昔の相場好きの個人投資家などは、工夫として、「マーケット発」の情報を重視していました。つまり、企業発の情報を知らなくても、マーケットをしっかりと見ていれば、情報を知っていたのと同じように、あるいは、それ以上に儲けることができる、ということです。そこには、どんなに早い情報でも、マーケットで買わなければ利益にならない、という基本を知っていたからです。

もし、良い材料を手に入れた人が、買いに動けば、必ず出来高の増加として表れます。ここを見逃さなければいいのです。結果、材料を知らなくても、出来高の変化や値動きの特徴などを学べば、材料は知らなくても大丈夫、材料は後からついて来ると考えたのです。むしろ、昔の相場の達人は、「早耳買いの早耳損」と言って、情報を早く手に入れることに鼻高々になっていた人を見下していたくらいです。

企業情報は迅速な公開が当たり前となった今でも役に立つ教えだと思います。なぜなら、公開された情報がすべて、相場に反映されるとは限らないからです。マーケット全体との関係などによって反応度が変わってきます。だから、公開された材料に対する自分なりの判断に、出来高や値動きなどマーケットの動きを加味して判断することが大切です。もちろん、企業発・情報だけでなく、社会発・情報についても同じです。常に、「自己判断」を持ち、そして、「マーケットとの対話」を怠らないことです。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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