【どう見るこの相場】定額減税であたかもマネーロンダリング?!4万円で売買可能な低位有配株が恒常収入をアシスト

■4万円で買える東証低位株460銘柄:配当利回り・PERランキング上位銘柄も

 金銭哲学では「悪銭身に付かず」と戒めている。行動経済学でも「あぶく銭は浪費しやすい」と経済心理学の機微を説いている。6月から実施される一人4万円の定額減税を「悪銭」、「あぶく銭」などと形容するのはいろいろと議論を呼びそうだ。しかし1回限りの定額減税は、恒常収入でなく変動収入であり、その意味では一時的に「悪銭」、「あぶく銭」の側面を持つことは否定できない。

 定額減税の政策目標は、かつては岸田内閣が、国会会期末を迎えて重要法案の成立と定額減税のセットで内閣支持率を引き上げ、解散総選挙に打って出るための布石との生臭い政治観測もされたようだが、いまでは専らインフレ・マインドの醸成に資することにあるようである。ただこんなことを言ったらバチが当たりそうだが、たかが4万円である。これでインフレ・マインド醸成、消費拡大につながるかといえば相当に無理がある。大半は、物価高騰で四苦八苦している家計費の不足分に充当されて消えるに違いなく、かえって家計の節約志向、生活防衛意識を刺激してしまう恐れさえある。またなかにはこの4万円を原資に一攫千金を狙う輩も出てくるかもしれない。競輪・競馬・競艇・スポーツくじ・パチンコなどのギャンブルや宝くじなどへの賭けである。その類のギャンブル資金なら、4万円はそれなりに使い出があり、まさに「あぶく銭は浪費」の実証ケースとなる。

 ただもっと賢い浪費家は、別の選択をする可能性もある。株式投資である。というのも東証には、4万円で最小単元株数の100株を取得できる低位銘柄が、全上場企業数(3831社)の12%を占める約460銘柄もあるからである。仮にこの低位銘柄から有配会社を選別して投資すれば、配当収入と新NISA(少額投資非課税制度)の税制優遇により4万円の変動収入が、恒常収入に一変することをアシストし、あたかもマネーロンダリング(資金洗浄)にもなることになる。

 かつて兜町には、「低位株ファン」、「ボロ株マニア」が多数生息していた。無配株なども、期末の名義書き換えの必要がなく課税逃れの資金隠匿銘柄として選好された時代もあった。しかし、「失われた30年」では、実際に「危ない会社」の経営破綻が相次ぎ、「低位株ファン」も「ボロ株マニア」も、おいそれと手を出せず共倒れに終わっている。

 それが定額減税とともに、定額減税版の低位株ファン、ボロ株マニアの再生を促すかもしれないのである。この投資対象の代表銘柄は、NTT<9432>(東証プライム)だろう。同社株は、昨年6月30日を基準日に1株を25株に分割する株式分割を実施し、権利付き最終株価4405円からスンナリ権利を落とした。株価は、今年5月10日の3月期決算発表以来、今期業績の減益転換予想などを嫌って下げ止まらず前週末には上場来安値150円まで調整した。それでも配当は、株式分割換算で連続増配を予定し、配当利回りは3.46%となる。定額減税4万円では、200株はゲット可能でその配当金総額は1040円と銀行預金金利を大きく上回り悪い買い物ではない。

 1987年のNTTの政府保有株の放出・株式上場では、高値でハシゴを外されて煮え湯を飲まされた個人投資家が、以来27年、今回の大幅株式分割と完全民営化に向けて再びダッシュ姿勢を強めるのかどうか見物となる。このほか4万円で購入可能な約460銘柄のうち、配当利回りランキングの上位にランクインする銘柄、同低PERランキングの上位銘柄、金利敏感のテーマ性のある材料銘柄も目白押しであり、個人版マネーロンダリングのチャンスは広がりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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