ゼリア新薬工業、25年3月期は大幅増収増益、26年3月期は小幅減益予想も保守的

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は5月8日に25年3月期連結業績を発表した。前回予想を上回る大幅増収増益で着地した。医療用医薬品事業、コンシューマーヘルスケア事業とも順調に推移し、営業外での為替差損益改善も寄与した。26年3月期は研究開発投資やシステム投資などを考慮して小幅減益予想とした。ただし保守的だろう。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。株価は地合い悪化の影響を受ける場面があったものの、その後は急反発して戻り高値圏だ。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■25年3月期は大幅増収増益、26年3月期は小幅減益予想だが保守的

 25年3月期の連結業績は、売上高が24年3月期比15.3%増の873億11百万円、営業利益が26.8%増の121億97百万円、経常利益が50.8%増の128億40百万円、親会社株主帰属当期純利益が28.5%増の99億36百万円だった。配当は5月8日付で期末1円上方修正し、24年3月期比3円増配の47円(第2四半期末23円、期末24円)とした。配当性向は20.8%となる。

 前回予想(25年2月5日付の2回目の上方修正値、売上高865億円、営業利益120億円、経常利益120億円、親会社株主帰属当期純利益90億円)を上回る大幅増収増益で着地した。医療用医薬品事業、コンシューマーヘルスケア事業とも順調に推移し、営業外での為替差損益改善も寄与した。なお営業外損益では為替差損益が18億16百万円改善(前期は差損11億82百万円、当期は差益6億34百万円)した。特別利益では前期計上の投資有価証券売却益4億99百万円が剥落、契約解除損失引当金戻入額9億77百万円が剥落、特別損失ではのれん償却額4億76百万円が剥落した。

 医療用医薬品事業は売上高(外部顧客への売上高)が19.0%増の589億70百万円で、営業利益(全社費用等調整前)が16.5%増の107億77百万円だった。主要製品の売上高は、アサコールが12.7%増の235億65百万円、ディフィクリアが53.7%増の207億64百万円、エントコートが0.8%減の53億72百万円、アコファイドが0.9%減の30億40百万円、その他が6.5%減の62億28百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤アサコールは国内が薬価改定や競合の影響で苦戦したが、海外が北欧を中心に好調だった。クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア(国内販売名ダフクリア)は営業リソースを積極的に投入し、欧州地域を中心に売上拡大した。炎症性腸疾患治療剤エントコートは海外の一部の国で後発医薬品が発売された影響で小幅減収だった。

 コンシューマーヘルスケア事業は、売上高が8.4%増の281億79百万円で、営業利益が21.6%増の63億97百万円だった。主要製品の売上高は、ヘパリーゼ群が14.4%増の125億52百万円、コンドロイチン群が3.1%減の55億72百万円、ウィズワン群が18.4%増の15億30百万円、その他が6.7%増の85億23百万円だった。ヘパリーゼ群は24年10月に発売した新製品「ヘパリーゼWシャイン」も寄与して、コンビニエンスストア向けヘパリーゼW群の売上が拡大した。また植物性便秘薬ウィズワン群や皮膚疾患治療剤プレバリン群も伸長した。

 その他(保険代理業・不動産賃貸収入等)は、売上高が3.8%増の1億60百万円、営業利益が3.0%減の2億43百万円だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高214億55百万円、営業利益39億39百万円、経常利益54億59百万円、第2四半期は売上高209億67百万円、営業利益25億20百万円、経常利益24億90百万円、第3四半期は売上高223億51百万円、営業利益37億87百万円、経常利益27億12百万円、第4四半期は売上高225億38百万円、営業利益19億51百万円、経常利益21億79百万円だった。

 26年3月期連結業績予想は売上高が25年3月期比3.1%増の900億円、営業利益が1.6%減の120億円、経常利益が6.5%減の120億円、親会社株主帰属当期純利益が4.4%減の95億円としている。配当予想は25年3月期比1円増配の48円(第2四半期末24円、期末24円)としている。連続増配で予想配当性向は22.3%となる。

 売上面は医療用医薬品事業、コンシューマーヘルスケア事業とも順調に推移して増収だが、利益面はエネルギー・原材料価格高騰の影響、研究開発投資や海外子会社の基幹システム投資などを考慮し、さらに営業外での為替差益を見込まず小幅減益予想とした。ただし保守的だろう。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。

■株価は上値試す

 株価は地合い悪化の影響を受ける場面があったものの、その後は急反発して戻り高値圏だ。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。5月8日の終値は2329円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS215円52銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の48円で算出)は約2.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2031円33銭で算出)は約1.1倍、そして時価総額は約1237億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■ポケモンセンターヨコハマに続く2店舗目、地域活性化にも期待  丸井グループ<8252>(東証プラ…
  2. ■ベンチマークで高評価、企業向けLLMの新たな選択肢  リコー<7752>(東証プライム)は4月3…
  3. ■第1弾の渡航レポート公開、夢への挑戦を可視化  日本航空(JAL)<9201>(東証プライム)は…
2025年5月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

ピックアップ記事

  1. ■スタンレー電気など年初来安値銘柄の業績見通しに焦点  日経平均株価が4月に大幅下落する中、年初来…
  2. ■トランプ劇場、急転換の舞台裏!米中摩擦、FRB人事…予測不能な変幻自在  「クルマは急に止まれな…
  3. ■5大商社決算発表を前に高まる投資家の期待感  世界三大投資家の一人ウォーレン・バフェットが日本の…
  4. ■「市場の反乱」の一段落で「市場の勝利」を期待しバフェット流に商社株にバリュー株投資も一考余地  …
  5. ■株価55%高もまだ割安!?記念優待利回り10%超の注目株  10日には米国の関税発動停止を受け、…
  6. ■一喜一憂の投資家心理、トランプ関税「一時停止」の罠  まずフェイクニュースかと目と耳を疑った。次…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る