
■対話型ロボットが子どもの社会性を育む可能性
NTT(日本電信電話)<9432>(東証プライム)が実施した実験心理学的研究により、5歳児は会話や身振りを交えたインタラクションが可能な社会的ロボットと接することで、そのロボットの前では他者への利他的行動を示す傾向が高まることが明らかになった。観察者としてロボットが存在すると、子どもは自分を良く見せようとする心理が働き、シール分配課題において相手に多くのシールを与えるという行動変化が見られた。一方で、インタラクション機能を持たないロボットや静止したロボットでは同様の効果は見られなかったことから、社会的なやり取りが重要な要素であることが示された。
■幼児教育を支える学習コンパニオンロボットの実現をめざす
また、ロボットに対する印象についての評価では、5歳児は社会的ロボットに対して、非社会的ロボットや静止ロボットよりも「心を感じる」傾向が強いことが判明した。知覚や有能性の面では大きな違いはなかったが、感情を持つ存在として捉えられていることが、子どもたちの行動に影響を及ぼしている可能性が示唆された。これらの結果は、ロボットが単なる機械ではなく、人間と似た存在として幼児に受け入れられ得ることを裏付けるものであり、今後の幼児教育におけるロボット活用の方向性を示している。
同研究成果は、発達心理学の国際誌「Child Development」に掲載され、5月20日から開催される「コミュニケーション科学基礎研究所オープンハウス2025」にて紹介される予定である。NTTは今後、ロボットが子どもの好みや成長段階に応じて最適な絵本を推薦する「ぴたりえタッチ」などの技術開発を通じて、学習を支えるコンパニオンロボットの実用化をめざす構えだ。子どもの学習メカニズムの理解とともに、ロボットが寄り添う未来の教育支援のあり方に期待が集まる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)