三洋化成、EV駆動ユニット向け耐摩耗・耐焼き付きポリマー添加剤を新たに開発

■駆動部の耐久性とEVの高効率化に貢献

 三洋化成工業<4471>(東証プライム)は2日、電気自動車(EV)の駆動ユニット「E-Axle(イーアクスル)」向けに、耐摩耗・耐焼き付きポリマー添加剤『アクルーブNS-100』を新たに開発したと発表した。同添加剤は、EV向け潤滑油(E-フルード)の低粘度化に伴う油膜の薄化や摩耗・焼き付きリスクの増大といった課題に対応し、優れた耐摩耗性および耐焼き付き性を発揮する。さらに、耐銅腐食性(銅に対して腐食性が低い性質)や電気絶縁性、酸化安定性といったE-フルードに求められる多面的な性能も兼ね備えており、E-Axleの高耐久化とEVの航続距離延伸・電費向上に大きく貢献する。

 自動車の電動化が加速し、モーター・インバーター・ギヤを一体化した高効率な駆動ユニット「E-Axle」の採用が拡大している。E-Axleに用いられるE-フルードには、耐摩耗性、冷却性能、絶縁性、耐銅腐食性など、多面的な性能が求められており、その性能はEV全体のエネルギー効率や信頼性を左右する重要な要素となっている。なかでも近年は、モーターの高性能化に伴う冷却性付与および粘性抵抗低減による航続距離向上を目的に、E-フルードの低粘度化が進んでいる。しかしその一方で、油膜が薄くなることによる摺動部(しゅうどうぶ、部品同士がすべり合う部分)や機械部品の摩耗・焼き付きによる故障リスクが高まり、新たな技術課題となっている。同社はこうした課題に対応するために、低粘度環境下でも高い耐摩耗性・耐焼き付き性を発揮しつつ、E-フルードに求められる多面的な性能をバランスよく備えた新しいポリマー添加剤を開発した。

 新開発の『アクルーブNS-100』は、従来、粘度特性向上などを目的にエンジン車用潤滑油向けに展開してきた『アクルーブ』シリーズで培った有機ポリマー技術を活かし、金属表面への吸着性を新たに付与した独自設計を採用している。これにより、以下の特長を実現した。

1.優れた油膜形成能と耐摩耗性・耐焼き付き性
・側鎖に導入した吸着官能基により、低粘度でも十分な油膜厚を形成。
・ポリマー成分として2重量%の少量添加で従来のE-フルードと比較して最大約25%の最大非焼き付き荷重向上を実現(4ボール法による評価)。
・摩耗や焼き付きによる駆動ユニットの故障リスクを低減し、ギヤ摺動部の高効率化・長寿命化に貢献。
・リン化合物など他の添加剤との併用で、耐摩耗性・耐焼き付き性のさらなる向上も可能。

2.E-フルードに求められる必要な性能を備える
・最適化した有機ポリマー構造により、耐銅腐食性や電気絶縁性、酸化安定性など、E-フルードに必要な性能を備えている。
・銅板腐食試験、体積抵抗率測定、加速酸化試験等により、従来品と同等以上の性能を確認。

 『アクルーブNS-100』は、国内外の潤滑油メーカーでの実機評価において高い耐摩耗性と信頼性が認められ、すでに一部大手ユーザーでの採用が決定している。今後も高性能化・技術革新に取り組むとともに、電動化が進む各種モビリティや産業機械分野への展開も視野に入れ、持続可能な社会の実現に貢献するとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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