
■病院・歯科医院で過去最多水準に迫る倒産、多角的な要因で経営難深刻化
帝国データバンクは7月8日、2025年上半期(1-6月)の医療機関倒産動向調査を発表した。それによると、病院・診療所・歯科医院の倒産件数は35件に上り、過去最多だった2024年同期(34件)を上回るペースで増加している。特に病院9件、歯科医院14件は各々の年間最多記録に迫る水準だ。
倒産の主因は物価高騰と人件費の上昇にある。医療機器や光熱費、患者給食費などが値上がりする一方、診療報酬の改定が追い付かない状況が続く。中小規模の診療所や歯科医院では、経営者の死亡や高齢化による廃業も目立つ。負債10億円以上の大規模倒産は病院4件で発生し、全体の97%が破産手続きを選択している。
病院経営を圧迫するのが施設の老朽化問題だ。耐用年数の39年を超えた施設が全国で53.4%を占めるが、建設費高騰で建て替えが進まない。1986年以前に設立された病院の半数以上が更新時期を迎えながら、資金不足から存続の危機に瀕している実態が浮き彫りになった。
現状のペースが続けば、2025年通年の倒産件数は初めて70件に達する見込みだ。北海道から福岡まで18都道府県に波及しており、地域医療の維持が課題となる。業態別では歯科医院の倒産が24年(27件)に次ぐ多さで、診療所と合わせて中小医療機関の経営環境悪化が鮮明になっている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)