マルマエ、半導体需要回復とKMAC連結で大幅増収増益へ、株価も上昇基調を継続

 マルマエ<6264>(東証プライム)は7月11日に25年8月期第3四半期累計連結業績を発表した。KMアルミニウム(以下、KMAC)を新規連結して第3四半期より連結決算に移行したため前期との比較はできないが、精密部品事業(マルマエ)は半導体分野を中心とする需要回復に伴って大幅増収増益だった。通期については機能材料事業(KMAC)の5ヶ月分業績も寄与して収益が大幅に拡大する見込みだ。またKMAC連結を反映した新たな中期事業計画も策定した。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は戻り歩調の形だ。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■25年8月期はM&Aも寄与して収益拡大

 25年8月期第3四半期累計の連結業績は売上高が72億69百万円、営業利益が14億50百万円、経常利益が13億38百万円、そして親会社株主帰属四半期純利益が9億39百万円だった。KMACを新規連結して第3四半期より連結決算に移行したため前期との比較はできないが、前年同期の非連結決算(売上高33億44百万円、営業利益24百万円、経常利益58百万円の損失、四半期純利益51百万円)に対して大幅増収増益だった。

 精密部品事業(マルマエ)の売上高は58億42百万円、営業利益(全社費用等調整前)が14億06百万円だった。半導体分野を中心とする需要回復に伴って大幅増収増益だった。分野別売上高は半導体分野が前年同期比85.3%増の45億91百万円、FPD分野が39.1%増の10億26百万円、その他分野が103.1%増の58百万円だった。

 機能材料事業(KMAC、25年4月~5月の2ヶ月分)は売上高が14億26百万円、営業利益が1億49百万円だった。IT器材分野(半導体・FPD製造用ターゲット材向け消耗材、アルマイト処理など)は、北米ロジックメーカー向けアルマイト処理が停滞したが、半導体・FPD製造用ターゲット材向け消耗材が好調に推移した。半導体装置部材分野(半導体エッチング装置用の真空チャンバーなど)は顧客の在庫調整の影響が継続している。基礎素材分野(電解コンデンサ用・HDD用の高純度アルミなど)は戦略的な価格適正化や低付加価値受注削減などにより利益率が改善した。

 通期の連結業績予想(KMACの25年4月~8月分を新規連結、25年6月20日付で公表)は売上高が112億54百万円、営業利益が19億円、経常利益が17億14百万円、親会社株主帰属当期純利益が12億65百万円としている。配当予想は前期比10円増配の40円(第2四半期末15円、期末25円)で、予想配当性向は40.0%となる。

 前期の非連結業績(売上高47億49百万円、営業利益1億56百万円、経常利益42百万円、当期純利益19百万円)に対して大幅増収増益の形となる。売上高の内訳はマルマエが前期比60.7%増の76億32百万円、KMACの5ヶ月分が36億22百万円としている。コスト面はM&A関連一時費用(営業利益段階で1.1億円、営業外で0.6億円)、当期のれん等償却1.2億円、借入金増加による金利負担0.8億円が発生するが、マルマエの営業利益上振れやKMACの営業利益4億円などを見込んでいる。

 またKMAC連結を反映した新たな中期事業計画も策定し、最終年度28年8月期の計画として売上高250億円、営業利益56億円、ROIC15%を掲げている。セグメント別計画は、精密部品事業の売上高120億円(半導体既存分野60億円、半導体新規分野40億円、FPD・その他20億円)、営業利益36億円、営業利益率30%、機能材料事業の売上高130億円(IT器材分野38.7億円、半導体装置部材分野36.1億円、基礎素材分野55.1億円)、営業利益23億円、営業利益率18%、共通営業費用3億円としている。株主還元については年間30円を最低配当額(通期最終損益赤字時は再検討)として、配当性向35%以上を目標とする。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は順調に水準を切り上げて戻り歩調の形だ。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。7月11日の終値は1600円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS99円93銭で算出)は約16倍、今期予想配当利回り(会社予想の40円で算出)は約2.5%、前期実績PBR(前期実績の非連結BPS566円10銭で算出)は約2.8倍、そして時価総額は約209億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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