【トランプ関税:企業アンケート】景気後退見込む企業8割超、自社への影響「マイナス」は半減

■製造業など一部で深刻な影響も、日本経済全体への警戒感は広がる

 東京商工リサーチは8月13日、「トランプ関税」に関する企業アンケートの結果を発表した。日米間で合意した新たな相互関税の発動を受け、自社への影響を「マイナス」とする回答は前回から大幅に減少した。一方、日本経済全体への影響については8割超が「景気を後退させる」と回答し、警戒感が強まっている。政府や行政に求める支援策では、大企業・中小企業ともに「法人税率の引き下げ」が最多となった。

■景気後退懸念は86.0%、自社業績への影響は31.9%に低下

 調査は7月30日から8月6日に実施され、7284社から有効回答を得た。トランプ関税が自社の今期業績に「マイナス」と回答した企業は31.9%で、6月の57.6%から半減した。日米間で関税軽減措置の内容が再確認されたことから、自社への影響を限定的とみる企業が増えたとみられる。一方、日本経済全体への影響を「マイナス」とした企業は86.0%に達し、農林漁業や運輸業では9割近くに上った。

■支援策は税負担軽減が最多、中小は資金繰り、大企業は効率化支援を要望

 政府や行政に求める支援策では、「法人税率の引き下げ」が50.0%と最も多く、税負担軽減を求める声が大企業・中小企業ともに強かった。中小企業では「事業・雇用維持のための給付金・助成金支給」など資金繰り支援が多く、大企業では「省力化・デジタル化のための補助金支給」や「トランプ政権の動向が自社業界に与える影響の情報提供」など、業務効率化や情報把握を重視する傾向がみられた。

■中小企業は市場開拓迫られる可能性も

 トランプ関税は今後、製造業以外の関連産業や、賃金の伸び悩みが続く個人消費にも影響が及ぶ可能性がある。一部大企業は米国内への生産拠点移転などで対応可能だが、多くの中小企業は米国以外の海外市場や国内市場の開拓を迫られる。物価高の中で販売価格を引き上げられなければ、業績悪化につながる恐れも指摘されている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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