
■二酸化窒素観測を初実現、温室効果ガス排出源の特定精度を向上
三菱電機<6503>(東証プライム)は9月5日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)から受注した温室効果ガス・水循環観測技術衛星「いぶきGW」(GOSAT-GW)に搭載された観測センサ「TANSO-3」と「AMSR3」による初観測データを取得したと発表した。同衛星は2025年6月29日にH-IIAロケットで打ち上げられ、鎌倉製作所で開発された。今回の成果は地球温暖化対策や気象予測、漁業など幅広い分野での活用が期待されている。
TANSO-3は従来機「いぶき」「いぶき2号」の後継センサで、二酸化炭素やメタンに加え新たに二酸化窒素の観測が可能となった。これにより、人為起源と自然起源の温室効果ガスの区別が容易になり、排出源特定や観測精度の向上が期待される。さらに回折格子型分光方式を採用し、面的な広域観測と都市域・発電所などを対象とした精密観測の両モードを提供することで、国や都市単位の温室効果ガス排出量を高精度に把握できる体制を整えた。
一方、AMSR3は水循環観測衛星「しずく」に搭載されたセンサの後継で、海面水温、土壌水分量、海氷、降雪量などを昼夜や天候を問わず観測できる。新たに166GHz帯と183GHz帯を追加し、極域での降雪や熱帯低気圧の予測精度向上に貢献するほか、漁業利用の拡大や北極海航路の運航計画にも寄与する。三菱電機は今後、環境省やJAXAと協力して観測データの提供を進めるとともに、民間企業や海外パートナーと連携し、温室効果ガス排出量の可視化サービスを展開する方針であり、サステナブル社会実現への貢献を強調している。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)