IHI、英国SatVuと熱赤外線衛星協力で覚書、日本の安全保障強化へ

■デュアルユース衛星技術で国家・経済安全保障に寄与

 IHI<7013>(東証プライム)は9月8日、英国の衛星開発企業SatVuと、熱赤外線センサを搭載した小型衛星を活用したコンステレーションの構築に向け協力することで合意した。両社は9月10日にロンドンで開催される防衛イベント「DSEI UK」にて覚書を締結する予定であり、国家安全保障と経済安全保障に資するデュアルユースの応用を検討する。IHIは衛星技術を基盤とした事業領域強化を進めており、今回の合意は日本における宇宙主権の確保や産業発展を目指す取り組みの一環である。

 SatVuは2023年に最初の衛星「HotSat-1」を打ち上げ、2026年には後継機2基の投入を予定している。同社の技術は高解像度の熱赤外線画像を生成でき、災害対応やエネルギーインフラ監視、気候リスク評価など多岐にわたる分野で利用が期待される。IHIとSatVuは協力を通じ、日本市場における衛星製造やコンステレーション運用の最適な事業スキームを検討する方針である。両社はこれにより、日英間の安全保障分野での連携深化を進める。

 IHIは既にフィンランドのICEYEと合成開口レーダー(SAR)衛星分野で協力しており、将来的には赤外線、光学、SAR、VDES、電波収集、ハイパースペクトル観測など複数技術を統合した衛星群を構築する計画である。佐藤篤取締役常務執行役員は、赤外線データの主権性確保が日本の安全保障に不可欠であると強調した。SatVuのAnthony BakerCEOは、日本の安全保障と産業の強靭性向上に貢献する協力に期待を表明した。今回の提携は、宇宙技術を通じ現代社会が抱える課題解決を目指す国際的な動きの一環といえる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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