【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】膵がん予防には空腹時血糖値に注意を

ドクター箱崎幸也の健康増進実践法 3ヶ月にわたりお酒のお話をしましたが、ここ1ヶ月で周囲の大切な人がお酒の飲み過ぎによる肝臓・膵臓病での入院を数件経験しました。アルコールは全身障害をお越しますので、ぜひ1週間合計で女性7杯、男性14杯を厳守して下さい(1杯はビール350mLに相当)。

今月はアルコールとも関連の深い膵臓の病気についてお話します。急性膵炎や慢性膵炎などがありますが、その中で最も怖いのは膵がんで、近年その発症率や死亡率が著しく上昇しています。

膵がんによる死因は英国や米国では5位と4位を占め、世界全体では年間約23万人が亡くなっています。日本でも10年以上前は10位前後でしたが、最近は5位になっています。膵がんは胃がんや肺がんなどに比べて、最も致死的で5年生存率は5%未満とされています。膵がんの患者さんは発見された時点で、殆どの人が周囲の血管、リンパ節や神経に浸潤していたり、肝臓や肺にまで転移しています。

治療として他のがんと同様に、手術・抗がん剤・放射線療法がありますが、なかなか良い成績は得られていません。私の担当した患者さんで、腹痛や黄疸などの症状はなく腹部CT/超音波検査などで発見されても、その時には殆どの方は手術が出来ないほど進行していました。幸いにも抗がん剤が一時的に効果的であっても、1年後には急に無効になったりしました。3年さらに5年と元気な方は、早期発見の手術で完全に切除された方です。

現在膵がんの危険因子を明らかにし、その因子を低減させる予防策が全世界で研究されています。最近台湾から、糖尿病だけでなく前段階の糖尿病〔空腹時血糖値100~125mg/dL〕の患者さんでも、高血糖値と膵がんリスク上昇との密接な関連が発表されました。糖尿病は大腸がんなどのリスクとしても有名ですが、発見が遅く治療への反応性が低い最も厄介な膵がんの予防対策には、日々の高血糖の是正・改善なのかもしれません。ぜひ今一度、ご自身の血糖値を見直してみて下さい。(元気会横浜病院々長、元自衛隊中央病院消化器内科部長)

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