【株式市場特集】再利用(リユース)、再資源化(リサイクル)、ごみ減量化(リデュース)の「3R」関連株

 「失われた20年」のトラウマが甦り、またまた生活防衛意識、節約志向の出番となることは想像に難くない。株式市場では、すでにこれを先取りしたような動きが出ている。昨年年末から今年年初に掛けて業績を上方修正した銘柄が特異的に多いセクターがあってやや動意付いたののである。再利用(リユース)、再資源化(リサイクル)、ごみ減量化(リデュース)の「3R」関連株がそれで、その「R」の対象がブランド品、自動車、マンションなど多彩なのである。

 この生活防衛意識・節約志向は、マイナーではなくメジャーな経済行動である。実は「3R」は、国際公約のSDGs(持続可能な開発目標)達成のためのサーキュラーエコノミー(循環型経済、CE)の一角に位置付けられ、CE推進による経済効果は、全世界で540兆円に達するとも観測されているのである。令和版の「3R」は、これに「もったいない」のゲーム感覚が加わる。「3R」株の業績の上方修正は、一過性のものでなく、成長産業化の前触れかもしれないのである。いまホットな話題となっている食品ロス関連株を含め、「3R」関連株への大手を振るってのSDGs投資も一考余地がありそうだ。

■業績の上方修正と増配は複数回にわたり株式分割・自己株式取得銘柄も

 3R関連株で昨年12月から今年1月に掛けて業績を上方修正した銘柄は、8銘柄に達しブランド品ではトレジャーファクトリー<3093>(東証プライム)、ブックオフグループホールディングス<9278>(東証プライム)、中古車ではネクステージ<3186>(東証プライム)、IDOM<7599>(東証プライム)、中古マンションでサンセイランディック<3277>(東証スタンダード)、ムゲンエステート<3299>(東証プライム)、中古トレーディングカードでテイツー<7610>(東証スタンダード)、再資源化でイボキン<5699>(東証スタンダード)と続いた。このほか買取王国<3181>(東証スタンダード)が株式分割、VTホールディングス<7593>(東証プライム)が増配をそれぞれ発表した。

 この上方修正銘柄のうちムゲンエステートとイボキンを除く6銘柄が、これが最初の業績上方修正ではなく、トレジャリー・ファクトリーの3回の修正を代表に複数回にわたり、ビジネスモデルそのものが大きなバッググランドに乗ってアップトレンドにあることを示唆している。また業績上ぶれ、再上ぶれとともに増配、再増配に踏み切る銘柄も目立つ。また株式分割を発表した買取王国は、増配も予定しており、業績そのものも昨年10月に2回目の上方修正を発表した。増配を発表したVTHDも、中間業績を含めると3回の上方修正を発表済みだ。

■金価格再上昇で貴金属リサイクル株を見直し食品ロス関連株もホット

 業績上方修正と株価推移がややイレギュラーだったのが、貴金属リサイクル株である。松田産業<7456>(東証プライム)のように業績を2回上方修正したものの、株価は、金先物価格が昨年3月の1トロイオンス=2078ドルから同10月に1618ドルまで大幅に調整したことが響き限定的な反応にとどまった。その金先物価格は、足元で1966ドルまで持ち直しており、この1月末から2月初めの四半期決算発表時に再び業績注目度が高まる展開も想定される。松田産業のほか中外鉱業<1491>(東証スタンダード)、DOWAホールディングス<5714>(東証プライム)、アサカ理研<5724>(東証スタンダード)、アサヒホールディングス<5857>(東証プライム)の定番銘柄は要マークとなる。

 3Rのうちいま最もホットなのは、ごみ減量化(リデュース)の食品ロス(フードロス)関連株だろう。昨年12月と今年1月にローソン<2651>(東証プライム)が、販売期限切れ前のデザートの値引き販売やフライドフーズのこども食堂への寄贈などの実証実験を開始したことをキッカケに株価的な関心事が高まった。子会社が、賞味期限切れ前の加工商品などを安価に提供するプラットフォームを共同活用しているエスプール<2471>(東証プライム)や同様のプラットフォームとソリューション提携しているインターネットイニシアティブ<3774>(東証プライム)のほか外食産業向けの受発注システム・需要観測システムを提供するアルファクス・フード・システム<3814>(東証グロース)、シンクロ・フード<3963>(東証プライム)、NEC<6701>(東証プライム)などのフードテック株が浮上する展開も想定させる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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