凸版印刷の液晶調光フィルムがトヨタ「センチュリー」に世界初搭載、AGCと連携し自動車サイドウィンドウ向けに調光ガラスを提供

■透明と不透明を自在に切り替え

 凸版印刷<7911>(東証プライム)は8日、AGC<5201>(東証プライム)のガラスと、同社の「LC MAGIC」を組み合わせた世界初の調光サイドウィンドウガラスが、2023年9月6日発表のトヨタ自動車<7203>(東証プライム)の「センチュリー」に採用されたと発表。同社は、スイッチ一つで透明と不透明を瞬時に切り替えられる液晶調光フィルム「LC MAGIC(エルシーマジック)」を2016年から提供している。

■採用の背景

 近年、自動車は移動手段だけではなく、その車内空間価値向上のニーズが高まっている。このニーズに対応するため凸版印刷は、自動車のサイドウィンドウ用途での調光フィルムを開発した。

 車載用途では、気温や天候、またドアや窓の開閉など取り扱いの面において、従来の建材用途よりも厳しい環境に対応できる耐久性が要求される。また、サイドウィンドウの特徴である開口部の広さを活かすため、調光フィルム内の液晶の保護に必要な外周封止の幅を極力薄くするという課題があった。

 同社はこれらの課題に対し、液晶や電極の見直しを行い、外周封止の技術(厚み・幅・塗布自動化など封止材塗布条件の最適化)を改良、今回自動車のサイドウィンドウに適合する性能の調光フィルムを開発した。さらに、ノンストレスで瞬時にON/OFFの切り替えができることで、車内居住空間の快適性向上を可能にした。

■調光サイドウィンドウガラス向け「LC MAGIC」の特長

・独自の封止技術で封止幅や厚みを最小限に

 凸版印刷の滋賀工場で保有する自動封止設備で、素早く、封止幅や厚みを最小限に抑えることを可能にした。外周封止で端部の保護を行うことで、ガラスの中間膜成分や外部の水分による液晶の透明化といったダメージを防ぐことができる。

 自動車用途に耐えられる高い信頼性を確保し、サイドウィンドウの広い開口部を維持できる封止技術を確立した。

・ヘイズ(濁度)透明時3%、不透明時99%を実現

 高い透明性と遮蔽性を両立した光学特性と、厳しい使用環境に耐えうる信頼性により、自動車メーカーが要求する高い品質基準をクリアし、世界で初めて自動車サイドウィンドウに搭載できる調光フィルムの供給が可能になった。

■今後の展開

 凸版印刷は、同製品をはじめ、今後、2022年12月に発表した「LC MAGIC 」の車載向け黒色グレード「ノーマルブラック」の改良や量産化技術を進め、各種自動車への搭載を目指していく。2025年度までに液晶調光フィルム事業全体で約30億円の売り上げを目指すとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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