【どう見るこの相場】10月相場のカギを握る原油と為替の動向、バリュー株救済の可能性は?

■原油高と円安がバリュー株に与える影響

 前週末29日は、バリュー株(割安株)受難の日であった。四半期末の機関投資家などのリバランス(資産配分の調整)売りが集中的に出たと観測された。このところ米国の長期金利の上昇を背景にバリュー株有利の展開が続いていただけに、利益確定売りは致し方がないとはいうものの、それでも下落率は半端ではなかった。業種別下落率では海運株、鉄鋼株、鉱業株がワーストスリーに顔を並べ、下落率は、日経平均株価が、0.05%の小幅続落にとどまったのとは対照的に3%から4%と崩れネガティブそのものであった。

 受難があれば、救済もあるのだろうか?10月相場への不安と期待である。まず株式需給的には、期末のリバランス売りがあれば、期初の配当の再投資も期待される。ただこれがバリュー株、グロース株のいずれにポジティブとなるかは運否天賦の側面がある。しかしバリュー株受難前と受難後では、市場環境のカタリスト(株価材料)に変わりはないようにみえる。そこにバユー株救済のヒントがあるのかもしれない。例えば、その一つに原油価格と為替相場の動向がある。

 受難前は、原油先物(WTI)価格の1バレル=100ドル、為替相場は1ドル=150円をデッドラインとするのが市場の大方の見方となっていた。前週末29日の米国市場でも、WTI価格も続落はしたものの、90ドル台で引け、為替相場は、1ドル=149円台でやや円安・ドル高に振れてかえってきている。これが、一部バリュー株の消長を左右する可能性があるかもしれないのである。

 為替相場とWTI価格は、鏡の表と裏のような関係にある。米国の中央銀行のFRB(米連邦準備制度理事会)は、インフレ抑制に向け2022年3月以来、11回にもわたり政策金利を引き上げ、いまその最終局面に差し掛かっているとなれるが、そのハト派政策に新たなハードルの一つとして浮上しているのが、WTI価格の上昇である。もちろんWTI価格の先行きは、今年12月まで自主減産を延長したサウジアラビアとロシアの胸三寸の側面がある。米国市場ではWTI価格が、1バーレル=95ドルを超えたら、次の上値フシは111ドルとも観測もされているだけに油断は禁物である。

 また為替相場も、前週末のFRB幹部のタカ派発言に対して、日本銀行の植田和男総裁は、異次元緩和策の出口政策にはなお距離があると従来発言を続けた。岸田文雄首相が指示した経済対策の予算規模が、20兆円とも30兆円とも大型化が喧伝されるなか、財政負担を軽減させるためにもゼロ金利政策が望ましく政治プレッシャーが働く側面も予想される。となれば円安・ドル高抑制は、円買い・ドル売りの為替介入の一本足打法となり、日米金利差がさらに拡大することもないとはいえない。ことによると10月相場のどこかで、WTI価格も為替相場も、テッドライン超えを試すことも想定されるのである。

 とういことで今週の当コラムでは、バリュー株出直りの一角としてこのWTI価格上昇と円安・ドル高とでダブルのメリットを享受するセクター株に注目することにした。鉱業株を中心とする石油株と、次いでインバウンド需要の拡大と「爆買い」に変わる節約志向をダブル享受するリユース関連株である。WTI価格と為替相場とを横目でウオッチする並行投資でバリュー株救済の先兵役を期待したい。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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