富士通はGPU不足に対応する世界初の技術を開発

■CPUとGPUの計算リソースをリアルタイムに切り替える技術と、HPCシステムで複数プログラムの並行処理を可能にする技術を提供

 富士通<6702>(東証プライム)は11月9日、生成AIや深層学習などの需要の高まりによる世界的なGPU不足に対応するため、CPUとGPUの計算リソースをリアルタイムに切り替える世界初の技術と、HPCシステムで複数プログラムの並行処理を可能にする世界初の技術を開発したと発表。これらの技術は、現在開発中のソフトウェア構想「Computing Workload Broker」の一部として提供され、社会課題の解決と持続可能な社会を実現するイノベーションの創出につながるコンピューティング基盤の実現に向けて、顧客の解きたい問題に対してAIが最適なコンピュータを自動で選択し演算可能にする。

 CPUとGPUの計算リソースをリアルタイムに切り替える技術(アダプティブGPUアロケーター技術)は、GPUを活用したプログラム処理中においても、高い実行効率が見込める処理に対してリアルタイムかつ優先的にGPUを割り振ることで、CPUとGPUの計算リソースを適切に活用可能な技術。これにより、利用者は、先行しているGPUでのプログラム処理を終えるまで待つ必要がなくなるほか、CPUで処理が始まっているプログラムに対してもGPUの利用状況を踏まえてリアルタイムにGPUへ切り替えることが可能になり、高効率なGPU利用を実現する。GPUを利用するAIや高度な画像認識などのアプリケーション開発において、グラフAIデータを処理するモデルの学習などを素早く実施することが可能になる。

 HPCシステムで複数プログラムの並行処理を可能にする技術(インタラクティブHPC技術)は、複数台のコンピュータを協調動作させるHPCシステムにおいて、現在実行中のプログラムの完了を待たずに利用可能とする、複数のプログラムのリアルタイムな実行切り替えを行う技術。これにより、リアルタイム性が求められるデジタルツインや生成AI、材料・創薬探索などの分野におけるプログラムの処理を即時に実行することが可能になる。同社は、この技術について、2023年11月12日(日曜日)から米国コロラド州デンバーのコロラドコンベンションセンターにて開催される「SC23」において、デモンストレーションとリサーチポスターセッションで発表する。

 同社は今後、これらの技術を「Fujitsu Kozuchi (code name) - Fujitsu AI Platform」や「Fujitsu Computing as a Service HPC」などのサービスに適用し、誰もがリーズナブルで高性能な計算機環境を容易に利用可能な社会の実現を目指していくとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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