【どう見るこの相場】NY離れはNY回帰か?!不確定相場では順張り、逆張りの二刀流スタンスに活路

■ニューヨーク市場との関係性が変化?東京市場の投資戦略は二転三転

 東京市場は、米国のニューヨーク(NY)市場のコピー相場といわれ続けてきた。「NYが咳をすれば東京は風邪を引く」といわれるほど、NY市場の動向に敏感に影響されてきた。NYが高ければ東証はツレ高し、NYが安ければ東京はツレ安し、NYのハイテク株高は東京にも波及し、景気敏感株有利ならばハイテク株売り・景気敏感株買いを強めた。ところが、このところ足元のコピー相場が、逆転写とはいわないまでもやや方向感が違うことがしばしば起こっているようにみえる。

 例えば前週末26日の日経平均株価は、2年9カ月ぶりに8営業日続落して202円安の3万7667円と3カ月ぶりの安値に沈んだ。その前日の25日のNY市場でダウ工業株30種平均(NYダウ)が、81ドル高と反発して返ってきて、取引時間中に一時236円高と反発したにもかかわらず大引けにかっけて急落しNY市場追随高が失速した。これは一つには両国の中央銀行の金融政策の方向性が、真逆となっていることが関連している可能性がある。日本銀行もFRB(米連邦制度理事会)も、ともに今週30日、31日に金融政策決定会合とFOMC(公開市場委員会)を開催するが、日銀は物価上昇の元凶となっている円安・ドル安阻止のための利上げ、FOMCはインフレ鈍化に伴う利下げを検討するなどフェーズが異なっている。

■ハイテク株リバウンドと円高関連株浮上の可能性

 この方向性が、さらに逆方向に拡大するのかそれとも本来のコピー相場に戻るのか夏相場の大きなポイントとなる。幸いなことに前週末26日のNYダウは、654ドル高と続急伸して4万ドル台を回復し、ナスダック総合株価指数もフィラデルフィア半導体株指数(SOX)も反発した。そこで週明けの東京市場の投資スタンスとしては、NY市場のコピー相場への回帰のケースとNY市場離れのケースに備えた二刀流作戦の使い分けを迫られる可能性がある。

 一つは「下げた株ほどよく戻る」とするリターン・リバーサル作戦である。前週末26日に急落し年初来安値を更新したハイテク株のリバウンド狙いである。そのなかにはこれから決算発表を予定している銘柄もあり、これがトリガー(引き金)になる展開も想定される。もう一つのNY市場離れのケースでは、ハイテク株の戻りも限定的、景気敏感株もいま一つとなって消去法的に浮上する銘柄で、その有力候補は円高・ドル安関連株である。いずれも日銀の利上げ政策とFRBの利下げ政策のいずれがマーケットで優勢になるかに備えるもので、長い長い夏相場に最後まで諦めず対応することになりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■離職率低下と顧客満足向上を実証、省人化潮流に逆行する人材重視戦略  「丸亀製麺」主力のトリドール…
  2. ■ビーム整形と出力平準化技術を融合し大気揺らぎを克服  NTT<9432>(東証プライム)と三菱重…
  3. ■航続距離650キロを実現、日野が新型FCV大型トラック投入  日野自動車<7205>(東証プライ…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  2. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  3. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  4. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…
  5. ■全市場のわずか1.4%、希少な高配当利回り銘柄が浮上  株式市場では、高配当利回りを持つ10月決…
  6. ■「高市祭り」への期待と警戒交錯、資金は安定配当株へシフト  10月終盤相場は、「高市祭り」か「高…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る