【どう見るこの株】スペースマーケットはM&A効果を手掛かりに業績期待を高め押し目買い交錯

 スペースマーケット<4487>(東証グロース)は、大型連休前の5月2日に5円安の293円と反落して引けた。7連騰した日経平均株価とは対照的に東証グロース市場指数が、0.20%安と5営業日ぶりに反落したことが響き、4月7日につけた年初来安値218円から底上げ途上にある同社株にも目先の利益を確定する売り物が出た。ただ同社株は、5月15日に今2025年12月期第1四半期(2025年1月~3月期、1Q)決算の発表を予定しており、今年2月に発表した3件のもM&Aを手掛かりに業績期待を高め押し目買いも交錯した。チャート的にも、年初来安値からの底上げで5日移動平均線が、25日移動平均線を上抜くミニ・ゴールデンクロス(GC)を示現して上昇トレンド転換を示唆しており、このトレンドに変化はないとしてフォローの材料視されている。

■気に3社M&Aでシェアリングエコノミー・サービスの全方位展開に弾み

 今年2月に発表したM&Aは、エミーナ(大阪市北区)、システリア(大阪市天王寺区)、クルトン(東京都渋谷区)など3社の一気の100%子会社化で、3社は、いずれもスペースマーケットと同様に会議室、オフィス、スポーツ施設などの空きスペースを貸借するシェアリングエコノミー関連の事業会社である。エミーナとシステリアは、関西エリアでプライベートスペース中心、クルトンは東京エリアでワークブース中心にそれぞれ事業展開しており、3社との事業融合は、デジタル・リアル両面の事業展開や多様な用途、エリアを含めた全方位のサービス提供に大きく貢献する。とくに3億円超で株式を取得したクルトンは、2024年3月期に売り上げ3億4777万円、純利益925万円の業績実績を上げており、即戦力としての寄与が期待される。3社の株式譲受日は4月1日、連結業績への反映は今2025年12月期第2四半期からとしているが、1Q決算発表時に何らかの業績コメントがあるのではないかとも期待されている。

 一方、今2025年12月期業績は、売り上げ25億7000万円(前期比30.5%増)、営業利益2億2600万円(同28.2%増)、経常利益2億1900万円(同23.9%増)、純利益2億500万円(同12.9%増)と予想され、純利益は、前期の過去最高(1億8100万円)を連続更新する。レンタルスペースのマーケットプレイス「スペースマーケット」の掲載スペース数が、個人、法人、地方自治体合計で3万7000件超と積み上がり、全社総取扱高が、75億4600万円(同25.6%増)と2ケタの高成長を続けることなどが要因となる。

■ミニGC示現でPER17倍の割り負け修正に動きまず年初来高値奪回

 株価は、3件のM&A発表に今12月期業績の連続過去最高更新予想が続き年初来高値366円まで買い進まれ、トランプ関税による世界同時株安の波及で年初来安値218円まで調整を余儀なくされた。同安値からは売られ過ぎとして310円までリバウンドし、5日線が25日線を上抜くミニGCを示現して上昇トレンド転換を示唆した。足元では300円台を出没しているが、PERは17.1倍と東証グロース市場全銘柄平均のPER38.4倍に比べて割り負けており、まず年初来高値366円を奪回し昨年9月高値555円を目指そう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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