
■小・零細企業の資金繰りに直撃、破産が9割超
東京商工リサーチの調査によると2025年4月の「物価高」倒産は56件で、前年同月比では6.6%減少したが、2024年11月以降6カ月連続で50件を超える高水準が続いている。倒産件数の大半を占めるのは、価格転嫁が難しい小・零細企業であり、特に飲食店や食料品関連、農業分野など“食”に関わる業種が目立つ。物価高に加えて、人件費や金利上昇の影響も重なり、経営環境の悪化が企業を圧迫している。
■北海道・四国で増加、地域別でも二極化の傾向
倒産形態では破産が52件と9割以上を占めており、再建型の手続きは見られなかった。負債総額は118億300万円で前年同月比20.1%減。負債1億円未満の倒産が全体の約6割を占めており、小規模な企業の資金繰り悪化が浮き彫りとなっている。資本金別でも1千万円未満の企業が約6割を占め、中でも100万円未満の企業の倒産が3倍に増加している。
産業別では、10産業中4産業で前年を上回った。サービス業が最多の15件(同114.2%増)で、次いで製造業、卸売業、小売業などが続く。業種分類では、道路貨物運送業と総合工事業が各7件と最多であり、飲食店、食料品製造業、農業など“食”関連が依然として多い。消費者向け業種においては、値上げが客離れにつながるリスクが高く、価格転嫁の難しさが業績悪化の一因とされる。
地域別では、北海道、東北、北陸、中国、四国で倒産が増加し、関東、近畿、九州では減少した。都道府県別では福岡が最多の7件、次いで北海道6件、青森と東京が各5件。こうした地域別動向からも、小規模企業が物価高に加えて複合的な経済要因に翻弄されている実態が明らかとなった。円高の進行や人件費の上昇が続くなか、価格転嫁が困難な企業の倒産リスクは今後も継続するとみられる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)