クレスコは、26年3月期も2桁増益予想、配当性向引き上げや自己株式取得で株主還元強化

 クレスコ<4674>(東証プライム)は5月9日に25年3月期連結業績を発表した。計画を上回る2桁増益だった。受注が好調に推移し、前期の不採算プロジェクトの影響一巡も寄与した。そして26年3月期も2桁増益予想とした。受注が好調に推移し、人件費増加などを吸収する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。なお配当方針を変更(配当性向の目処を40%から50%へ引き上げ)し、26年3月期も大幅増配予想とした。また自己株式取得も発表した。株価は地合い悪化の影響を受けた4月の安値圏から反発の動きを強めている。好業績や株主還元強化を評価して出直りを期待したい。

■25年3月期は2桁増益、26年3月期も2桁増益予想

 25年3月期の連結業績は、売上高が前期比11.4%増の587億60百万円、営業利益が16.8%増の59億83百万円、経常利益が11.2%増の62億90百万円、親会社株主帰属当期純利益が18.2%増の44億05百万円だった。配当は5月9日付で期末2円上方修正して42円(第2四半期末19円、期末23円)とした。24年7月1日付の株式2分割を遡及修正すると24年3月期は26円(第2四半期末12円50銭、期末13円50銭)で、16円増配となる。連続増配で配当性向は39.3%となる。

 計画(24年5月10日付の期初計画値、売上高585億円、営業利益59億円、経常利益60億円、親会社株主帰属当期純利益40億円)を上回る2桁増益だった。受注が好調に推移し、前期の不採算プロジェクトの影響一巡も寄与した。

 ITサービス事業は売上高が10.6%増の540億82百万円、営業利益(全社費用等調整前)が16.3%増の76億77百万円だった。

 内訳として、エンタープライズは売上高が8.6%増の220億50百万円、営業利益が20.5%増の24億98百万円だった。増収・大幅増益だった。受注面は建設・不動産、流通サービス、人材紹介・人材派遣の各分野が落ち込んだものの、情報・通信・広告、運輸、その他の各分野が大幅に伸長し、利益面では前期の不採算プロジェクトの影響が一巡したことも寄与した。

 金融は売上高が16.4%増の171億65百万円で、営業利益が15.4%増の23億92百万円だった。大幅増収・大幅増益だった。銀行分野の受注が好調に推移し、ジェット・テクノロジーズを新規連結したことや、前期の不採算プロジェクトの影響が一巡したことも寄与した。

 製造は売上高が7.3%増の148億66百万円、営業利益が13.5%増の27億86百万円だった。増収・大幅増益だった。機械・エレクトロニクス分野の受注が伸び悩んだものの、自動車・輸送機器、その他の各分野の受注が増加し、ジェット・テクノロジーズおよび高木システムを新規連結したことも寄与した。

 デジタルソリューション事業(ライセンス販売)は、売上高が21.6%増の46億77百万円、営業利益が26.0%減の1億67百万円だった。増収ながら減益だった。ジェット・テクノロジーズおよび高木システムの新規連結により増収だが、利益面は一部の連結子会社における製品・ライセンス販売の利益率が低下して減益だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が137億58百万円で営業利益が8億70百万円、第2四半期は売上高が147億48百万円で営業利益が17億38百万円、第3四半期は売上高が145億96百万円で営業利益が15億46百万円、第4四半期は売上高が156億58百万円で営業利益が18億29百万円だった。

 26年3月期の連結業績予想は売上高が前期比8.9%増の640億円、営業利益が17.0%増の70億円、経常利益が13.5%増の71億40百万円、親会社株主帰属当期純利益が11.2%増の49億円としている。受注が好調に推移し、人件費増加などを吸収する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

 なお配当については5月9日付で配当方針の変更を発表し、配当性向の目処を従来の40%から50%へ引き上げた。これに伴い26年3月期の配当予想は前期比16円増配の58円(第2四半期末29円、期末29円)とした。連続大幅増配で予想配当性向は48.8%となる。さらに自己株式取得も発表した。上限100万株または15億円で、取得期間は25年5月12日~25年11月28日としている。

■株価は反発の動き

 株価は地合い悪化の影響を受けた4月の安値圏から反発の動きを強めている。好業績や株主還元強化を評価して出直りを期待したい。5月9日の終値は1216円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS118円82銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の58円で算出)は約4.8%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS747円27銭で算出)は約1.6倍、そして時価総額は約511億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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