
■「今が買い時」——トランプ氏の強気発言
米国のトランプ大統領が、再び株式市場への「買い」アピールを行った。英国との関税交渉が合意に至った直後の記者会見で、「米国は上昇ロケットになる」とまで語ったという。これまで同大統領は、株安・債券安・ドル安という“三重安”に不満を示し続けてきた。90日間の関税発動一時停止や英米合意といった一連の動きを受け、米国市場には「三重高」への期待感が広がりつつある。中国との交渉が残るとはいえ、「過度の警戒」は「軽度の安心」へと移行しつつあるようだ。
■政治トップと株式市場の距離感
一国のリーダーが、まるで証券マンのように「株は今が買い」と語ることは珍しいことではない。2013年9月、当時の安倍晋三首相もニューヨーク証券取引所で「バイ・マイ・アベノミクス」と呼びかけ、海外投資家の注目を集めたことがある。これは第2次安倍政権の発足直後の出来事で、景気刺激策と市場の期待がかみ合った例として今も記憶に残る。市場に向けた政治家の発言が、実際の投資行動を左右する現象は、過去にも現在にも共通する特徴といえる。
■リーダー発言と市場心理の交差点
「ねじれ国会」と呼ばれた時代には、政権支持率がわずかに変化するだけで、日経平均が大きく揺れ動いたものだ。政治と市場は無関係ではいられない。トランプ大統領の発言が今後の市場にどう影響するかは未知数だが、少なくとも市場がその言葉に反応する準備をしていることは間違いない。株式相場が政治リスクと政治発言の影響をどのように織り込むか、それが今後の焦点となる。市場心理の変化を見極める上でも、トップの一言は軽視できない。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)