2025年度企業想定為替レートは1ドル139円台、前年より円高水準に

■企業収益に与える影響も二極化、為替変動リスクに注視

 帝国データバンクは6月24日、2025年度の企業の想定為替レートに関する動向調査の結果を発表した。同調査によると、2025年度の企業の平均想定為替レートは1ドル=139円64銭となり、前年5月時点の140円88銭から1円24銭の円高水準となった。レートの分布では「146~150円」が28.6%と最も高く、次いで「141~145円」(25.0%)、「136~140円」(21.8%)と続き、企業の4社に3社が136円から150円の範囲で設定していることが明らかになった。

 業界別にみると、想定為替レートには違いが見られた。『金融』が142円33銭で最も円安水準となったほか、『卸売』『小売』『製造』も140円台を想定していた。一方で、『不動産』は130円28銭と最も円高水準を見込んでおり、両者の差は12円5銭であった。この差は前年の15円88銭から縮小した。為替変動が景気の先行きや自社の売上に与える影響を懸念する声がある一方、円高による仕入れコストの軽減を期待する意見も聞かれた。

■「直接輸入」は円安、「直接輸出」は円高を想定、収益影響を反映

 輸出入や企業規模によっても、想定為替レートには明確な傾向の違いが現れた。事業として輸入を行う企業は平均143円91銭を想定し、輸出を行う企業の142円53銭より1円38銭円安の水準となっていた。特に「直接輸入のみ」を行う企業は144円58銭、「直接輸出のみ」を行う企業は138円8銭と、収益への影響が逆方向に働くことを反映し、6円50銭の差があった。また、企業規模別では、大企業が143円1銭、中小企業が139円90銭、小規模企業が137円63銭と、規模が大きいほど円安を想定する傾向が見られた。

 2021年後半から続いていた実勢レートと想定レートの大幅な乖離は、2025年4月以降、急速に縮小している。しかし、経済の基礎的条件を反映するとされる購買力平価(PPP)は1ドル=108円台で推移しており、中長期的な為替変動のリスクは依然として残る。同調査は、実勢レートとの乖離が再び拡大し、輸出入を通じて企業収益が悪化するリスクについて、引き続き注視する必要がある、とまとめている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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