NTT、対話で協調するAI開発、複雑な企画立案も自律的に、人間の記憶構造を模倣

■AIが「空気読み」戦略立案、自律協調の新技術を発表

 NTT(日本電信電話)<9432>(東証プライム)は8月8日、複数のAIエージェントが人間のように対話を通じて相互に意図を理解し、協調しながら複雑な課題を解決する、マルチAIエージェントの自律協調基盤技術を開発したと発表した。同技術は、これまで質の高い解決策の導出が難しかった、複数分野にまたがる「企業ブランディング戦略の立案」や、多様な視点が求められる「多角的なビジネスプラン検討」といった、一貫性や具体性が不可欠なプランニング業務での活用が期待される。成果は2025年7月28日に、自然言語処理分野の国際会議ACL2025で発表された。

 同技術の最大の特徴は、AIエージェントに人間の「記憶構造」と「協働創造プロセス」を模倣させた点にある。各AIエージェントは、対話を通じて獲得した個別の経験である「エピソード記憶」と、それを抽象化した「意味記憶」を知識として階層的に管理する。この仕組みにより、チーム会議などを通じて互いのタスクやアプローチへの理解を深め、方針をすり合わせることが可能になった。従来のマルチAIエージェントシステムでは、分割されたタスクを個別に処理するため、全体の整合性を保つことが困難であった。同技術は、この課題を克服し、高品質なアウトプットの生成を実現する。

 同社が実施した実証実験では、同技術の有効性が確認された。紅茶をテーマにしたビジネスプランの検討において、従来手法では各AIの提案が羅列されるに留まったのに対し、同技術は各提案を相互補完的に統合し、多角的なプランを出力した。文書生成の精度を測る評価でも、従来手法を平均14.4%上回るスコアを記録し、知識を再利用した場合はさらに17.2%向上した。NTTは今後、同技術について2025年度中のPoC(概念実証)を目指すとともに、人間とAIが協調して創造性を発揮する世界の実現に向け、研究開発を推進していく方針だ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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