アストロスケールホールディングス、JSTと燃料補給技術の研究開発契約を締結、2029年頃打上げを予定

■軌道上サービスの新領域に挑戦、宇宙インフラの柔軟性を拡大

 アストロスケールホールディングス<186A>(東証グロース)は9月1日、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)との間で、人工衛星に対する燃料補給技術の委託研究契約を締結したと発表した。同件は内閣府主導の「経済安全保障重要技術育成プログラム(Kプログラム)」に基づくもので、同社が「複数軌道・電気推進への拡張性、国際市場を意図した国産の化学燃料補給技術開発」を正式に受注した。研究開発期間は約5年、予算総額は最大108億円(税別)と見込まれている。

 同研究では、同社が軌道上実証で培ってきたRPOD技術を基盤に、ロボティクスやコンピュータビジョン、燃料移送技術を組み合わせ、低軌道での化学燃料補給を実証する。さらに静止軌道や電気推進への適用も視野に、推進剤の地上検証を進める計画である。実証用衛星は「REFLEX―J」と命名され、衛星寿命の延長や利用の柔軟性拡大を目的とし、2029年頃の実証を予定する。名称には「柔軟性の向上」の意味が込められており、宇宙インフラの新たな標準構築を目指す。

 同社の加藤英毅社長は、衛星やデブリの増加による軌道環境の混雑を指摘し、循環型経済の概念を宇宙空間で実現する必要性を強調した。燃料補給サービスは衛星寿命の延長による打上げ回数の削減や衛星の小型化・低コスト化に寄与し、経済的利益とともに新たなミッションの柔軟性をもたらすと述べた。アストロスケールは既にELSA―dやADRAS―Jなどの実証を成功させ、世界各国の宇宙機関や通信事業者と連携しており、今回の開発を通じて持続可能な宇宙利用の基盤確立を図る。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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