
■『Beyond Stations構想』モデル駅として、アート・デジタル・地域を結ぶ拠点整備
JR東日本(東日本旅客鉄道)<9020>(東証プライム)は11月11日、上野駅を「文化創造HUB」として再構築する構想を発表した。グループ経営ビジョン「勇翔2034」と「Beyond Stations構想」に基づき、駅を単なる交通拠点から「文化を媒介する共創の舞台」へ転換する。2026年春には、グランドコンコースに同社最大級となる約75平方メートルのゼロカーボンメディア「UENO CANVAS」と、約225平方メートルのショールーミング空間「UENO ZERO」を整備する。さらに、生活デバイスとして進化する「Suica」機能を活用し、駅とまちが連動するシームレスな移動・文化体験社会の実現を目指す。
■リアルとデジタルが融合する『つなげる機能』
上野駅は「リアルなHUB」と「デジタルなHUB」の両輪で、まちと人を結ぶ拠点へと生まれ変わる。リアル面では、駅空間全体にアート・映像・光・音を融合させた文化空間を展開し、「上野広小路口ビジョン」や「PLATFORM13」など既存設備を含めて文化発信機能を強化する。デジタル面では、Suica改札通過情報と連携した「JRE MALLチケット」の購入や、文化施設を巡るデジタルスタンプ「エキタグ」の導入により、文化回遊の利便性を高める。また、「JR東日本アプリ」を通じて駅構内や商業施設の混雑状況を可視化し、来訪者の快適な滞在を支援する。
■アートと文化体験の共創・拡張
JR東日本は、アートの力を活かして人と人をつなぐ仕組みを強化する。猪熊弦一郎(自由)や平山郁夫(昭和六十年春 ふる里・日本の華)など歴史的作品の修復を進めるとともに、東京藝術大学との包括連携のもと、アートツアーや多言語対応サインを整備する。さらに、クラウドファンディングを活用してアーティストと支援者を結び、持続的な文化創造エコシステムを構築する。「PLATFORM13」での映像展示や藝大生とのワークショップを通じて、上野ならではの文化体験を拡充し、東京都美術館など周辺文化施設との連携を深めることで、「上野文化回遊廊」の形成を進める方針である。
■地域とともに創る新たな観光・交流拠点
上野駅は「北の玄関口」として、地域の魅力を体験・発信する拠点にもなる。地域の食材を鉄道輸送する「はこビュン」を活用した「つながる産直市」や、ナイトマルシェ、伝統文化の実演などを通じて地域経済の活性化を後押しする。また、観光客向けに手荷物預かりや配送サービスを拡充し、訪日客が文化と街歩きを楽しめる環境を整備する。JR東日本は今後もリアルとオンラインの融合を進め、「交通の拠点」から「暮らしと文化のプラットフォーム」への転換を加速させる考えである。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)























