地合いは悪いが相場転機のタイミング近づく、25日のギリシャ選挙がポイント=犬丸正寛の相場展望

犬丸正寛

犬丸正寛の相場展望 NYダウは15日まで5日連続安でこの間、約590ドル下げ、日経平均も昨年大納会から約550円下げている。とくに、今年になって日経平均が200円を越える上げ下げとなっている回数は9営業日中で5回にも達している。今年は羊年、おとなしい羊が暴れだしたようだ。

幸い、NYダウは12月15日の1万7067ドルと、1月6日の1万7262ドルの下値のフシをキープしている。15日の場中安値は1万7298ドル、ここで下げ止まればトリプル・ボトムを形成できる。日経平均もほぼ同様の形でNYダウが底打ちし反発に転じれば反転上昇が期待できる。

今回の下げは 現在、置かれている複雑な国際情勢を反映したようないろいろな要因が入り交じった複合的なものといえる。発端はギリシャにおいて大統領選出ができなかったことからギリシャ不安が再燃、ユーロ存続危機に膨らみ、ここに原油安が加わりアメリカのシェールガス関連企業への影響が懸念されるに至った。

世界マネーは通貨ユーロや一連の商品相場から逃避、スイスフランや円を買う動きを強めた。これにたまらずスイスはこれまで続けてきたフランを売ってユーロを買うことを止めた。円はユーロに対し135円台、ドルに対し116円台と円高に進んでいる。当然、トヨタ自動車など輸出関連銘柄の下げ圧力となっている。

ヨーロッパ中央銀行は22日に金融の量的緩和を決める見通し。デフレ懸念の強まっている欧州経済を支える。25日にはギリシャの総選挙が行われ、財政再建の緊縮政策に賛成か反対かが決まる。おそらく、ギリシャ国民は緊縮政策でユーロ圏に残る道を選ぶものとみられる。この点において売り材料が一つ消えることになる。

残るは原油問題となるが、こちらは見通し難だ。好調なアメリカ経済だが、失業保険申請件数が増加、あるいは時間当り賃金の減少など一部で懸念される動きも出ている。また、シェールガス関連企業では破綻も伝えられている。このため、ある日突然、中東産油国と、これ以上の原油安は誰の得にもならないとして減産・価格維持の話し合いが開かれる可能性はあるだろう。

相場の地合いはよろしくないものの、相場転機のタイミングが近づいているようだ。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■歯周病の進行抑制に向け、老廃物除去と免疫調整の2軸で研究  ライオン<4912>(東証プライム)…
  2. ■バリア性能と印刷適性を両立、2030年までに10億円売上目指す  大日本印刷<7912>(東証プ…
  3. ■胃がん・大腸がん対策で「Train the Trainerプログラム」を展開  オリンパス<77…
2025年9月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■金先物相場を背景に産金株が収益拡大の余地を示す  東京市場では金価格の上昇を背景に産金株が年初来…
  2. ■大統領の交渉術が金融市場を左右し投資家心理に波及  米国のトランプ大統領は、ギリシャ神話に登場す…
  3. ■価格改定効果に加え9月以降の値上げで業績上乗せが期待される銘柄  今週の当コラムは、9月に価格改…
  4. ■9月1日に値上げラッシュの食品株は日銀バトルで小緩んでも株高持続性  まさに「パウエル・プット」…
  5. ■メガバンク株は業績修正や自己株取得が焦点、再編思惑も視野  銀行株やコメ関連株は盆休み明けの注目…
  6. ■日経平均史上最高値更新、夏枯れ懸念を払拭  前週末15日のマーケットは、お盆を象徴するかのように…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る