【新社長語る】建設技術研究所・中村哲己社長

■強みの技術力・提案力を生かし、全体の英知を結集して社会に貢献

建設技術研究所<9621>(東1)は、1945年に前身である(財)建設技術研究所が創立されて以来、技術力の高さを最大の強みとして発展してきた「日本で最初の建設コンサルタント」だ。河川や港湾・海洋、ダム、水道、道路などの分野はもとより、スマートシティ・都市計画や環境・エネルギー、資源循環などでも活躍している。中村哲己(なかむらてつみ)新社長(62)<写真>は、2019年3月26日付で代表取締役社長に就任。「強みである技術力・提案力を生かしてグループ全体の英知を結集して社会に貢献していきたい」と抱負を語った。(共同会見)

◆M&A、業務提携などで都市・建設系、地質・地盤系、環境分析系を拡大

【就任の抱負など】
 「AI・IoT、5Gなど、人とモノとネットワークとが融合した技術革新の波は、今後、飛躍的に加速すると考えられる。おそらく3年後の社会環境は大きく変わるだろう。また、技術革新とともに新たなリスクが数多く顕在化してくる。この技術革新の動向を正しく見極め、最新のICTを駆使して有益な技術を開発し、さまざまな社会的課題をビジネスで解決し、持続可能な社会の形成、地域社会の安全・安心・便利・快適な暮らしの確保につなげ、地域社会に貢献していくのが、私たち建設コンサルタントの使命だ」。

 「当社の経営理念は、『世界に誇れる技術と英知で、安全で潤いのある豊かな社会づくりに挑戦する』だ。私は、当社がこの高い志を堅持し、これまで培い、そしてさらに開発を続ける確かな技術で、国内・海外のあらゆる分野へ、さらなる挑戦を続け成長する会社となるよう、全力で経営に当たりたいと思っている」。

「当社は、人と技術や自主・自由を大切にする会社であるとともに、誠実という社風がある。この社風を大切にしつつ、さらにグループ全体の企業価値を向上させていきたい」。

◆防災・減災、国土強靭化や大阪万博へのインフラ投資などに注力

【事業環境・経営方針など】
 「いま日本は、地震や豪雨など痛ましい災害の多発、人口減少、インフラの老朽化など、さまざまな社会問題を抱えている。このような中で、建設コンサルタントを取り巻く事業環境は、わずかだが改善に向かいつつある。防災・減災、国土強靭化のための3カ年緊急対策の予算確保や、2025年の大阪万博へのインフラ投資などによる事業増加が期待される」。

 「これまでの経営姿勢を継承するとともに、経営環境の変化に柔軟に対応していく。昨2018年に拡大修正した『CTIグループ長期ビジョンCLAVIS2025』の実現には、まずは3ヵ年の『中期経営計画2021』の達成が不可欠だ。これに基づき、組織改革や人材構成、事業展開など、さまざまな施策を進める。目指すところは『CTIグループの安定経営と事業拡大』になる。これに向けて、事業構造、生産システム、人事システムの3つの変革とグループガバナンスの強化を行う。この3ヵ年の変革と強化で人材力と技術力を蓄え、次の飛躍に備える」。

 「インフラ:社会基盤は近い将来、劇的に変化するだろう。これまでインフラといえば橋や道路、トンネルといったものだったが、ここ数年のうちに、自動運転のために必要な設備やヒトのいらない配達網、空を行き来する輸送手段、これらに必要な情報通信網といったものがインフラの中核になる」。

◆中途採用を含めて優秀な人材の獲得・採用を拡大

 「CLAVIS2025で掲げたマルチインフラ企業、グローバル企業、を実現するために、主要グループ会社との協働、M&A、業務提携などにより、都市・建設系、地質・地盤系、環境分析系の事業を拡大する。グローバルについては、建設技研インターナショナルの営業機能と生産力を向上させる。また、ウォーターマン社(英Waterman社)との人材と技術の交流を加速して協業を本格化する」。

 「優秀な人材の獲得競争は激化しているが、当社時ついては、採用予定数は確保できている。今後も、中途採用を含めて採用は拡大していく方針だ。人件費の総額は増加しているが、若年層の比率が増加していることから、技術者一人あたりの人件費は横ばいを維持している。この傾向を続ける限り、業績には大きな影響を与えないと考えている」。(HC)

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