川越市とマーケットエンタープライズが楽器寄附ふるさと納税を開始

■官民連携で教育機関の楽器不足解消へ

 埼玉県川越市(市長:川合善明)とマーケットエンタープライズ<3135>(東証プライム)は6月30日、地域社会における課題解決を目的とした連携による楽器寄附ふるさと納税を2022年7月1日から行うこととなったと発表。同取り組みによって、教育機関の楽器不足解消を図っていく。

■取り組みの背景と狙い

 川越市は、市民目線による地域の持続性を明らかにする「市版SDGs調査2020」(調査:ブランド総合研究所)でSDGs指数が最も高い都市として1位に選出されるなど、SDGsに関する積極的な取り組みで知られている。他方、マーケットエンタープライズは、リユース事業を中心に事業展開しており、「持続可能な社会を実現する最適化商社」をビジョンに掲げ、これまで、内閣府が設置した「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」に参画や、「楽器寄附ふるさと納税」実行委員会の一員として活動を続けるなど、官民の垣根を超えたSDGsへの取り組みに注力してきた。そうした中で、川越市が市制施行100周年を迎えるにあたり、「リユース活動促進による循環型社会の形成を目指したい」という互いのニーズが合致したため、連携による楽器寄附ふるさと納税を開始することとなった。

 現在、全国の多くの学校では、部活動等で使用する楽器の老朽化により慢性的に楽器が不足している。マーケットエンタープライズが2020年に実施した「吹奏楽部の活動に関する実態調査」によると、30%以上の人が、吹奏楽部に入部する際に学校所有の楽器ではなく、自分で楽器を調達していることが明らかになった。さらに、楽器購入には新品で平均244,480円を要しており、楽器メンテナンスや遠征費などの諸経費を加えると、入部した年の費用は30万円以上に及び、家庭への経済的負担を強いるケースも少なくない。こういった背景から、教育機関における楽器の確保は喫緊の課題となっている。同取り組みによって、子どもたちが音楽に親しみ、演奏したい楽器を思い切り練習できる環境の実現を目指していく。

■楽器寄附ふるさと納税について

 「楽器寄附ふるさと納税」は、全国から楽器が不足している自治体へ使われていない休眠楽器を寄附いただき、教育機関及び音楽団体などへ届ける仕組みである。従来のふるさと納税と同様に、寄附いただいた楽器の査定金額が税金として控除される全国初の取り組みであるが、通常のふるさと納税制度とは異なり、同制度には「返礼品」と呼ばれるものがなく、児童・生徒たちからの感謝の手紙や演奏会への招待状などが届く。返礼品目的ではなく、純粋な想いから生まれる楽器寄附は、ふるさと納税の本質を捉えた制度として、2020年度「総務省ふるさとづくり大賞 地方自治体表彰」を獲得した。制度開始から3年半が経った令和3年度までの寄附申込み件数は1,200件を超え、寄附楽器の累計査定金額は1,300万円に到達した。この取り組みを通じて、学校などに寄附された楽器は603件にのぼる。

■今後について

 7月1日から、「楽器寄附ふるさと納税」のホームページに、川越市の寄附募集に関する情報が掲載され、ここから直接、楽器査定申し込みが可能になる。楽器の査定はマーケットエンタープライズが実施し、寄付額を確定。その後、楽器を送付。寄附された楽器は、マーケットエンタープライズより、自治体に送付し、自治体を通じて、教育機関へ寄贈される。川越市とマーケットエンタープライズでは、この官民一体の取り組みによって、循環型社会の形成に向けた、社会的側面・経済的側面の双方の課題解決を目指していくとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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