KDDI、Starlinkの海上利用向け通信サービスの第1号として東海大学望星丸に搭載

■海上での通信品質や医療DXを試験

 KDDI<9433>(東証プライム)は18日、同社が提供する法人・自治体向けの衛星ブロードバンド「Starlink Business」の海上利用向け通信サービスについて、学校法人東海大学(所在地:東京都渋谷区)の海洋調査研修船「望星丸」に搭載すると発表。2023年7月下旬から「望星丸」で、海上における通信品質の確認や、安全な航海に必要な海洋気象情報のリアルタイムでの取得や陸上との双方向オンライン授業などさまざまな用途について試験を行う。

■Starlink導入の背景

 海上を航行する船舶においては安全な航海に必要な、気象庁から提供される海洋気象情報や、海上保安庁から提供される水路通報・航行警報など、さまざまな情報を収集する用途で通信を利用している。長らく海上における通信は静止軌道衛星を用いた衛星通信サービスが担ってきたが、近年、発信される情報のデータ量の増加や、FAXからHP掲載への発信方法の変化などにより、陸上から遠く離れた海上では、リアルタイムの情報収集が難しくなる状況になりつつあり、その解決策が求められていた。

 また、望星丸には船員だけでなく、多くの海洋学を学ぶ学生も搭乗する。これまで航海中は授業への参加が難しく、調査データの共有・報告なども帰港してから行われなかった。

 さらに、2022年11月には、増加傾向にある自然災害によって引き起こされる離島部などでの医療難民のサポートを目的に、国内初の災害医療実証訓練を実施した。訓練では、陸の孤島となった沿岸部地域の被災者に対する支援を想定し、「望星丸」船内で診療しながら非被災地の医療機関まで搬送するシナリオで実施し、望星丸利用の有用性と課題を明らかにした。

■「望星丸」でのStarlink概要

 Starlinkにより、航海中にダウンロード速度最大220Mbpsの通信環境が利用できる。Starlinkを活用した高速通信により陸上でのインターネット利用と遜色ない環境が整うため、航海に必要な情報の収集が可能になる。

 また、操船を行う船員以外に、調査研究を行う学生も多数搭乗している。船上からのオンライン授業の参加や、調査結果を活用したリアルタイムなミーティングの開催など乗船期間中の学習環境をDX化する。

 今後、災害医療の現場における「望星丸」の活用において、遠隔地の患者と都市部にいる医師とのオンラインによる診察や、画像データによる診断の実施など、高速通信による医療DXへの期待が高まっている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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