ファーストロジック、ChatGPTなどAI活用で月200時間超の業務削減、エンジニアの残業時間は2割減

■AI担当を各部署に置いてサポート体制を構築

 国内最大の不動産投資プラットフォーム「楽待」を運営するファーストロジック<6037>(東証スタンダード)は22日、ChatGPTやGitHub CopilotなどのAIを活用することで、毎月200時間以上の業務削減を達成したと発表。特にエンジニアの業務削減効果が大きく、削減で生まれた時間をより本質的な業務に充てられるようになった。また2023年4月のAI導入からの半年間は、前年に比べて残業時間が2割減少している。

 11月からは一部エンジニアを対象にGoogleの生成AIアシスタント「Duet AI for Google Workspace」の利用も始め、今後本格的に導入するかどうかを検討している。社員がより効率的に働ける環境を整えていくとしている。

■毎月200時間以上の業務削減、残業時間が1~2割減少

 同社では、2023年4月に全社員参加型の「AI活用プロジェクト」を立ち上げ、ChatGPTを活用した社内向けのWEBサイトを制作した。これにより、サイトに長文を貼り付けるだけで、一瞬で要約文が生成され、これまで時間をかけていた音声データの文字起こしも数秒で終わるようになった。

 また、マイクロソフト傘下のGitHubが提供するAIプログラミングアシスタント「GitHub Copilot for Business」を全エンジニアとデザイナーに導入。OpenAIとGitHubにより開発された人工知能がプログラミングを補助してくれる機能で、コーディング業務の削減に大きく役立った。

 2023年11月には、社員約70人を対象にAI導入による業務上の効果を調査。その結果、会社全体で毎月200時間以上の業務削減となり、最大で8割の工数削減につながったことが分かった。また、AI導入後から半年間の平均残業時間は、会社全体では前年比で1割減少、エンジニアについては2割減少していた。

■社員全員がAIを活用できるように、新たなAIサービス導入も

 AIの活用法で多かったのは、「長文の要約」や「文字起こし」に加え、「メールなどの文面作成補助」「エクセルでの関数作成補助」「画像・イラストの生成」「企画の壁打ち」などでした。一方で、「AIに指示を出すのが難しい」「どう使ったら良いか分からない」「指示通りの結果が生成されない」といった課題を感じている社員も一定数いた。

 アンケート結果を受け、今後はAI担当者が社員の疑問を解消し、ノウハウを提供するようなイベントを開催予定。各業務における具体的な活用方法を、AI担当者が現場担当者と一緒に探すことで、社内でのサポート体制を強化していきたいとしている。

■調査背景

 ChatGPTのリリースから1年が経過し、同社ではプロジェクトを立ち上げてから半年のタイミング。また2023年10月には、新しい社外取締役として、AI技術を活用したオンライン対戦将棋アプリ「将棋ウォーズ」などの企画・開発・運用で知られるHEROZ株式会社の林隆弘代表取締役CEOを迎えた。

 これを節目として、まず現状を振り返り、AIがもたらす効果と解決するべき課題を明確にする必要があると考え、業務削減の調査と社員アンケートを行うことになった。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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