クリナップ、家では好きな場所で調理、外ではレジャー・災害支援に対応できる「モビリティキッチン」プロトタイプを発表

 クリナップ<7955>(東証プライム)は3月07日、システムキッチンの次の時代を担う「モビリティキッチン」のプロトタイプを発表した。同社は2023年2月に、キッチンを通じて生活・社会・地球が豊かになることを目指して「未来キッチンプロジェクト」を始動した。「モビリティキッチン」はこのプロジェクトを通じて研究している「次世代キッチン」の一つ。

■モビリティキッチン研究の背景

 同社は2019年より武蔵野美術大学と産学共同で「キッチンの未来ビジョンづくり」をスタートさせ、キッチンが様々な社会課題へ貢献する可能性を模索してきた。2023年の2月の「未来キッチンプロジェクト」発足時にはLDKの中で固定されたキッチンをもっと自由にすることで、未来のライフシフト対応や災害支援に貢献できると考え、プロジェクトリーダーである竹内宏が“脱LDK”を最初の開発テーマとして宣言。その後、移動式キッチンの研究開発を推進してきた。

 ろ過装置を製作している株式会社三美製作所との共同開発により、水道が無い場所でも水を循環することで使用できるシンクを実現。さらに株式会社ホンダアクセスから車両協力を頂き、屋外での運搬や使用についての実証実験を行うなど実用化に向けての開発を進めてきた。

■プロトタイプのポイントと今後の展開

 今回発表するモビリティキッチンのプロトタイプは、移動できるという新しい機能を持ちながらも、メインキッチンとして使用できる性能を有している。シンクは水道設備の無い場所でも繰り返し水を供給できるよう循環ろ過器を搭載。加熱機器はバッテリー電源により、場所を選ばず調理をすることができる。家の中のあらゆる場所になじむよう、曲線のやわらかいラインとファブリック調のテクスチャで家中どこでも使いたくなるデザインを目指している。積み重ねることでコンパクトにもでき、小型車両でも屋外に持ち運べるサイズになっている。災害時には各家庭や企業で使用している「モビリティキッチン」を持ち寄って食の支援をする未来を想定している。今後も商品化に向けてデザインと機能を進化させ、2030年までに事業として新しいライフスタイルの創出と災害支援に貢献することを目指していくとしている。

■「モビリティキッチン」使用シーンと特長

・リビングでくつろぎながら調理、食事、洗い物まで
・ダイニングテーブルと組み合わせて効率的に調理
・天気の良い日はキッチンを持ち出しベランピング
・車に乗せてアウトドアに持って行くことも

1.「循環ろ過装置」を搭載したシンク
 シンクユニットにはセラミック製フィルターを使用した「ろ過装置」を内蔵。シンク内で水をろ過することで、浄水が繰り返し吐水されるため、災害時等には限られた水でも調理できる。ろ過装置には水を逆流させることでフィルターを自動で洗浄する「逆洗浄機能」を搭載し、長期間性能を落とさず使用できることを想定している。

2.モビリティ性能と使用感を両立させる設計
 ユニットのサイズは持ち運びと調理を両立できる幅600mm×奥行き480mm。高さは200mmに設定してあり、ダイニングテーブルに置くと通常の調理で使いやすい高さになる。コンパクトなので一人で持ち運べ、小型の車両に積むことも可能。さらに調理ユニットには充分な作業スペースと収納を確保した。

3.キッチンと生活空間を融合させる新しいデザイン
 インテリアになじませるために、ファブリック調や天然木をあしらうことで家具のような柔らかい印象を目指した。単品で置いても美しく、キッチンの存在を感じさせない生活空間を実現する。

■キッチンの役割を拡げる「次世代キッチン」の開発

・モビリティキッチンの可能性

 今回のプロトタイプは日常的なキッチンの移動にフォーカスしましたが、モビリティキッチンがもたらす価値はそれだけではない。「引っ越しで持っていける」「気軽に交換ができる」「家族の変化に合わせて増減させる」「お祝いでプレゼントする」など、人とキッチンの関係性を一変させる。キッチンの役割自体を変えていくことで、今まで以上に人と密接に関わり、広い範囲での価値を提供する。

・“キッチンは人の為にどんな価値を生み出せるか“

 次世代キッチンは「モビリティキッチン」以外の切り口でも研究開発を進めており、人の生き方や社会の在り方など、今までのキッチンでは結び付かないようなシーンに向けてのアプローチが重要だと考える。今後も幅広い視野で“キッチンは人の為にどんな価値を生み出せるか“について、真摯に向き合い、次世代キッチンの開発に取り組んでいく。(開発戦略部 商品戦略課 デザイナー 近岡 咲)
(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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