
■固定価格買取制度の見直しと燃料高が経営圧迫、前年度比で倒産倍増
再生可能エネルギー発電事業者の倒産と休廃業・解散が2024年度に過去最多の52件に達した。帝国データバンクの調査によると、倒産は8件で前年度から倍増、休廃業・解散は44件を数えた。過去5年間の倒産案件を分析すると、太陽光発電が7件と最多、次いで木質バイオマス発電4件、火力発電3件、風力発電2件と続く。
倒産の主因は、維持管理コストや燃料価格の高騰に加え、固定価格買取制度(FIT)の買取価格引き下げによる収益悪化だ。太陽光発電のいろは商会は全国8万ヘクタールの用地を確保していたが、電力買取価格の低下で採算が合わず破産に至った。また木質バイオマス発電は、木質チップの価格高騰や設備の不具合などで運営コストが増加し、新宮フォレストエナジーなどが破産した。
現在、太陽光発電を中心に安定した売電収入を得ている企業も多く、蓄電施設の開発も進むなど再エネ発電のニーズは高まっている。しかし、FIT制度終了に伴う収入減少への懸念や、借入金返済負担、設備投資コスト増加などの課題が残る。FIT制度開始から12年以上が経過し事業環境が大きく変化したなか、同制度を前提とした再エネ発電事業者の淘汰は今後も続く可能性が高い。
2016年度から2024年度までの推移を見ると、倒産・休廃業解散件数は増加傾向にあり、特に近年は休廃業・解散の件数が顕著に増加している。この間、再エネ発電をめぐる事業環境は大きく変化し、持続可能なビジネスモデルの構築が求められている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)