【どう見るこの株】弘電社は今期純益減益転換予想を織り込み割安修正期待の打診買いが再燃

どう見るこの株

 弘電社<1948>(東証スタンダード)は、前日13日に34円高の2100円と反発して引け、前々日12日の急落分115円の3分の1を取り戻した。同社株は今年5月9日に3月期決算を発表し、前2025年3月期業績は期中の2回の上方修正値を上ぶれ、純利益が、6期ぶりに過去最高を更新して着地したが、今2026年3月期純利益を減益転換と予想したことが響き、目先の利益を確定する売り物が増勢となった。ただ、今期純利益の減益予想は、前期計上の特別利益一巡による一時的なもので、なおかつ低PER・PBR・高配当利回りのバリエーションは変わらないとして割安修正の打診買いが再燃した。テクニカル的にも、4月7日に売られた年初来安値1600円からの底上げで5日移動平均線が、25日移動平均線を上抜くミニ・ゴールデンクロス(GC)を示現して上昇トレンド転換を示唆し、12日の急落時もその25日線を前に下げ止まっており、トレンドは不変として再発進期待を高めている。

■電気設備工事の繰越高が前々期末比36%増と積み上がり工事粗利益も続伸

 同社の前2025年3月期業績は、利益が2回目の上方修正値を4億円~8億円上ぶれて着地し、とくに純利益は中国子会社の清算益などの特別利益が上乗せとなったことで27億3700万円(前々期比3.04倍)と大幅続伸し2019年3月期の過去最高(19億6100万円)を6期ぶりに更新した。これに対して今2026年3月期業績は、売り上げ420億円(前期比7.0%増)、営業利益31億円(同0.6%増)、経常利益32億円(同1.0%増)、純利益20億5000万円(同25.1%減)と増収増益を見込み、前期計上の特別利益が一巡する純利益のみ減益転換を見込んだ。

 高水準な設備投資・建設投資が続き、電材・管材市場も堅調に推移する好事業環境下、電気設備工事の前期末の次期繰越工事高が、大型受注案件などを中心に452億6500万円(前々期末比36.9%増)と積み上がって工事粗利益が続伸し、人件費、資材価格高騰に伴うコストアップを適正に価格に反映し原価低減に引き続き取り組むことなどが要因となる。純利益も、特別利益が一巡しても2019年3月期の水準をオーバーする。配当は、前期期中に2回増配した年間配当80円の継続を予定している。

■ミニGC示現の上昇トレンド転換は不変でPERは9倍、PBRは0.8倍

 株価は、前期業績の2回の業績上方修正・増配には高値反応し、今年2月の2回目の業績上方修正で年初来高値2348円まで買い進まれ、配当権利落ちにトランプ関税による世界同時株安が重なって年初来安値1600円まで調整した。同安値から売られ過ぎとしてリバウンドし5日線が25日線を上抜くミニGCを示現して上昇トレンド転換を示唆した。足元では今期純利益の大幅減益転換予想で再度の下値確認となったものの、25日線はキープしトレンドに変化はない。PERも9.0倍、PBRも0.84倍、年間配当利回りも4.0%と割安であり、年初来高値奪回に再発進しよう。(情報提供:日本インタビュ新聞・インベストメントナビゲーター:株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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