TAC、コスト効率化と事業好調で大幅増益・黒字転換を達成、26年3月期横ばい予想も増配で株主還元強化へ

 TAC<4319>(東証スタンダード)は5月15日に25年3月期連結業績を発表した。前回予想を上回る大幅増益で黒字転換した。売上高は微増収にとどまったが、営業コスト構造の見直しや全社ベースの業務効率化効果のほか、引当金繰入額が想定を下回ったことも寄与した。26年3月期は横ばい予想としているが、やや保守的だろう。なお配当は増配予想としている。積極的な事業展開で収益回復基調を期待したい。株価は25年3月期利益予想の上方修正(4月30日公表)を好感して急伸する場面があった。1倍割れの低PBRも評価して上値を試す展開を期待したい。

■25年3月期大幅増益で黒字転換、26年3月期横ばい予想だが保守的

 25年3月期の連結業績は、売上高(前受金調整後の発生ベース売上高)が前期比1.0%増の191億96百万円、営業利益が7億25百万円(前期は3億07百万円の損失)、経常利益が7億36百万円(同3億29百万円の損失)、親会社株主帰属当期純利益が4億67百万円(同2億19百万円の損失)だった。配当は前期比2円減配の4円(第2四半期末2円、期末2円)とした。配当性向は15.5%となる。

 前回予想を上回る大幅増益で黒字転換(4月30日付で売上高を小幅下方修正、各利益を大幅上方修正)した。売上高は微増収にとどまったが、教室受講を前提とした開講ラインの見直しや校舎床面積の最適化などの営業コスト構造の見直し、全社ベースの業務効率化効果のほか、引当金繰入額が想定を下回ったことなども寄与した。

 個人教育事業は現金ベース売上高が1.4%増の99億04百万円で現金ベース営業利益が1億96百万円(前期は10億29百万円の損失)だった。法人研修事業は現金ベース売上高が0.7%増の44億75百万円で現金ベース営業利益が12.2%増の11億35百万円だった。

 受講者数は個人受講者が0.3%増の11万1422人、法人受講者が0.9%減の8万8017人、合計が0.3%減の19万9439人だった。講座別受講者数(個人と法人の合計)は簿記検定講座が4.1%増、税理士講座が1.9%増、不動産鑑定士講座が19.3%増、FP講座が15.6%増、建築士講座が36.3%増、行政書士講座が12.1%増、CompTIA講座が10.1%増だった一方で、公認会計士講座が16.3%減、マンション管理士/管理業務主任者講座が13.2%減、ビジネススクールが12.0%減、公務員の国家一般職・地方上級講座が14.8%減、USCPA講座が14.7%減等となった。

 出版事業(TAC出版、W出版)は売上高が3.2%増の43億81百万円、営業利益が17.1%増の9億93百万円だった。独学層に向けたアプローチの強化や販売促進活動等の成果で増収増益だった。人材事業は売上高が0.4%減の5億08百万円、営業利益が17.2%増の74百万円だった。TACプロフェッショナルバンクの会計系人材事業、医療事務スタッフ関西の医療系人材事業とも売上高が伸び悩んだが、コストコントロールの効果で増益だった。

 なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高(前受金調整後の発生ベース売上高)が50億23百万円で営業利益が3億18百万円、第2四半期は売上高が51億12百万円で営業利益が5億05百万円、第3四半期は売上高が42億99百万円で営業利益が3億84百万円の損失、第4四半期は売上高が47億61百万円で営業利益が2億86百万円だった。

 26年3月期の連結業績予想は、現金ベースの売上高が0.2%増の192億90百万円、前受金調整後の発生ベース売上高が0.3%増の192億60百万円、営業利益が1.9%増の7億40百万円、経常利益が5.0%減の7億円、親会社株主帰属当期純利益が0.5%増の4億70百万円としている。配当予想は前期比3円増配の7円(第2四半期末3円、期末4円)としている。予想配当性向は27.0%となる。

 26年3月期は横ばい予想としているが、やや保守的だろう。なお配当は増配予想としている。積極的な事業展開で収益回復基調を期待したい。

■株価は上値試す

 株価は25年3月期利益予想の上方修正(4月30日公表)を好感して急伸する場面があった。1倍割れの低PBRも評価して上値を試す展開を期待したい。5月15日の終値は226円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS25円92銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の7円で算出)は約3.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS343円05銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約42億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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