
■前年同月比4倍超、過去最長の連続増加を記録
帝国データバンクは6月30日、2025年7月における食品主要195社の価格改定動向を発表した。7月に予定される飲食料品の値上げは合計2105品目に達し、前年同月比で約4倍の増加となった。中でも調味料が最多の1,445品目にのぼり、カレールウやだし製品などの値上げが目立った。これにより、2025年通年の累計値上げ品目数は1万8697品目となり、早ければ7月中にも2年ぶりに年間2万品目を超える可能性が高まった。
値上げ率の平均は15%で、2025年1月以降7カ月連続で前年同月を上回る値上げ傾向が続いている。菓子ではチョコレートやポテトチップスなど196品目で改定があり、一部では内容量の変更も確認された。加工食品では米価格の高騰を受けた米飯製品やパスタソースが値上げ対象となった。2025年の値上げ累計は前年(1万2520品目)比で49.3%増となり、分野別では「調味料」が前年比2.5倍に急増。「酒類・飲料」も7割増となった。
■原材料高・光熱費・人件費の複合要因が影響
値上げの背景には、原材料費の上昇(97.2%)が圧倒的多数を占めるほか、光熱費の上昇(66.4%)、人件費の増加(53.9%)、物流費の負担(80.0%)などが複合的に影響している。中でも人件費要因は2023年の集計開始以来で最高水準に達し、エネルギーコストの転嫁も進行中である。このような価格改定は、企業努力によるコスト吸収の限界を示すものであり、消費者への影響も広がっている。
今後については、緊迫する中東情勢を背景に再上昇する原油価格や、円安による輸入コスト増も相まって、飲食料品の価格改定が秋以降も継続する見通しである。特に、エネルギーや食用油、小麦などの価格が急騰した2022年型の大規模値上げの再来が懸念される。現在の勢いが続けば、2025年は2022年の2万5768品目に並ぶか、これを超える可能性すらある。物価上昇圧力が緩む兆しは乏しく、消費者の生活防衛意識も今後さらに強まるとみられる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)