【どう見るこの相場】日経平均株価は96年高値にトライだが、出尽くし感や達成感にも注意

日インタビュ新聞ロゴ

 今週11月6日~10日の株式市場は、好調な企業業績や為替のドル高・円安を背景として、日経平均株価が96年6月高値2万2750円にトライする場面がありそうだ。ただし米国の税制改革法案が発表され、FRB(連邦準備制度理事会)次期議長も発表された。日米における金融政策決定会合や米10月雇用統計という重要イベントも通過した。日経平均株価が96年6月高値を突破すれば、一旦は好材料出尽くし感や達成感に注意も必要となりそうだ。

■今週は日経平均株価が96年高値にトライ、出尽くし感や達成感にも注意

 前週(10月30日~11月2日)の日経平均株価は、週末2日に2万2540円25銭まで上伸して96年6月高値2万2750円に接近した。また10月の終値ベースの月間騰落率は8.13%に達した。

 北朝鮮を巡る地政学リスクに対する警戒感が後退した一方で、世界的な景気と企業業績の拡大、トランプ米政権の減税政策、米FRBの緩やかな追加利上げなどに対する期待感で、米国株はダウ工業株30種平均株価が11月3日に2万3557ドルまで上伸するなど史上最高値更新の展開となり、為替は1ドル=114円台までドル高・円安水準に傾いた。

 今週(11月6日~10日)は、国内ではソフトバンクグループやトヨタ自動車などの決算発表が予定されている。世界的な景気拡大による需要の増加、値上げ効果、さらに円安効果などで、前週までに主力銘柄の業績予想上方修正が相次いでおり、企業業績の拡大に対する期待感に変化はないだろう。日経平均株価は96年6月高値2万2750円にトライする場面がありそうだ。

 ただし重要イベントを通過し、ほぼ期待どおりの内容だったことで好材料出尽くし感が浮上する可能性があり、日経平均株価が96年高値を突破した場合の達成感にも注意が必要となりそうだ。

 1日の米FOMC(連邦公開市場委員会)声明は12月の利上げを示唆する内容だったが、市場ではほぼ織り込み済みとの見方が大勢である。2日には米下院共和党が連邦法人税率を35%から20%に引き下げる税制改革法案の詳細を発表した。市場が期待した減税政策の方向性が確認された形だが、可決に向けて調整が難航するとの見方が優勢だ。3日にはトランプ米大統領が次期FRB議長にパウエルFRB理事を指名した。市場の期待どおり緩やかな利上げ路線が確認された形だが、事前報道などでほぼ市場予想どおりの人選だった。また3日発表の米10月雇用統計では非農業部門雇用者増加数が市場予想をやや下回ったものの、雇用情勢の好調さが確認された。

 一方でトランプ米大統領のアジア歴訪で、北朝鮮を巡る地政学リスクの高まりが再燃する可能性も考えられる。強基調だった10月相場の反動もあり、一旦は高値波乱に対する警戒も必要となりそうだ。

■物色は景気敏感の主力大型株

 物色面では、日経平均株価やTOPIXが主導する流れになれば、引き続き景気敏感の主力大型株物色が中心になりそうだ。また決算発表に伴う個別株物色も期待されるが、決算シーズン恒例の乱高下展開に注意が必要となる。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■バイオマス発電所で自動運転実証、135トンの燃料運搬に成功  大林組<1802>(東証プライム)…
  2. ■小規模店の淘汰進むも、残存者は付加価値戦略で業績回復  帝国データバンクの調査によると、2024…
  3. ■企業独自のシステム統合とカスタマイズ可能なAIエージェントを実現  ソフトバンクグループ<998…
2025年3月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

ピックアップ記事

  1. ■名変更会社の局地戦相場の待ち伏せ買いも一考余地  今年4月1日以降、来年4月1日まで社名変更を予…
  2. ■あの銘柄が生まれ変わる!市場を揺るがす社名変更、次なる主役は?  「トランプ・トレード」が、「ト…
  3. ■年初から57銘柄が優待新設、40銘柄超が拡充・変更  株主優待制度は従来、配当増加や自社株買いと…
  4. ■『マッチポンプ』相場の処方箋、トヨタの優待新設に見る『安全投資』の行方  「まるでマッチポンプ」…
  5. ■「トランプ・ディール」懸念下での投資価値、重複上場株の割安性  今週のコラムでは、米国景気の減速…
  6. ■見直される株主優待制度と重複上場戦略の新展開  ジャパニーズ・スタンダード(日本基準)とグローバ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る