【どう見るこの相場】フィニッシュはコロナ禍の「ピンチをチャンス」の耐性クラスター株で冬支度

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どう見るこの相場

 11月相場がスタートし、年内相場も残り2カ月と押し詰まってきた。この2カ月、どのようなパフォーマンスでフィニッシュとなるか大いに気になるところである。足元の明るいうちに何とか無事に年を越させて欲しいと慎ましやかに望んでも、保証の限りではない。アゲインストの材料ばかりが待ち構えているようにみえるからだ。

 まず週明け3日には、米国の大統領選挙の投票日が控えている。トランプ大統領とバイデン候補のいずれが勝つにしても、それでイベント通過とはならない可能性が指摘されている。事前の世論調査でバイデン候補の支持率が、トランプ大統領を上回っているものの、4年前のトランプ大統領の逆転の再現も観測されており、最悪の場合、仮にバイデン候補が勝利しても、トランプ大統領が敗北を認めず、来年1月まで新大統領が決まらず長期紛争化する展開も想定されているからだ。

 また米大統領選挙の大きな争点にもなっている新型コロナウイルス感染症も、世界的に感染が再拡大している。新規感染者は、今年春のパンデミック(世界的な大流行)から一時減少していたものの、経済活動の再開とともに再び増加に転じ、ドイツ、フランス、英国などの欧米主要国が、外出制限、飲食店の夜間営業禁止などのロックダウン(都市封鎖)の動きを強めている。米国でも、前週末30日の1日当たりの新規感染者数が、9万9325人と今年7月の前回ピークを上回り過去最多を連続更新中で、今年10月22日のテレビ討論会でトランプ大統領が「感染拡大は峠を越えた」と発言したのとは逆の展開となっている。

 この新型コロナウイルス感染症は、考えてみれば2020年相場を通底するカタリスト(株価材料)で、主要各国の経済対策・金融政策、ワクチン・治療薬の開発も含めて新型コロナウイルス感染症に始まって新型コロナウイルス感染症に終わるかもしれないのである。足元で発表が続いている決算発表でも、コロナ禍でサプライ・チェーンの途絶など企業活動に支障を来して業績が悪化、これに対応した主力各国の経済・金融政策や巣ごもり消費、テレワーク関連の5G(第5世代通信システム)投資などのメリットをいち早く享受して業績を上方修正する銘柄が続出する展開となっている。新型コロナウイルス感染症は、かつてのペストなどの疫病に並ぶ人類史上のまごうことないピンチではあったが、そのピンチをチャンスとしてフォローしていることになる。

 今年10月央から始まった決算発表でも上方修正セクターは、いまのところ小売り株、食品株、自動車部品株、地銀株、一部ハイテク株などにクラスターが出現するやや偏在がみられる。しかもこの上方修正の中身は、期初の保守的な業績予想から減益率や赤字幅を縮小させる修正が大半である。しかも、この上方修正に対する株価の感応度は一応ではなく、限定的な反応にとどまる銘柄、ストップ高する銘柄、材料出尽くしとして売られる銘柄などバラツキもみられる。

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